胆嚢肝様腺癌の1例

症例は85歳,女性.他疾患で近医に通院中.健診目的の腹部超音波検査で胆嚢腫瘍を指摘され,当院へ紹介となった.腫瘍マーカーはAFP 1,960ng/ml,CEA 7.5ng/mlと高値を認めた.腹部超音波検査・腹部CT・腹部MRIの結果,胆嚢癌,cT2N0M0,cStage IIの診断となり,開腹胆嚢床合併胆嚢摘出術を施行した.病理検査では胆嚢腫瘍は中分化乳頭腺癌の成分と肝細胞癌に類似した成分の異なる組織が混在しており,胆嚢原発肝様腺癌と診断した.術後,AFP・CEAは正常値に復し,現在4カ月で無再発生存中である.肝様腺癌は肝細胞癌と腺癌の2つの特徴を持つ稀な組織型であり,胃,大腸,肺,膵臓,子...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 84; no. 6; pp. 928 - 934
Main Authors 尾山, 佳永子, 原, 拓央, 小竹, 優範, 大島, 正寛, 橋本, 聖史, 加藤, 洋介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2023
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.84.928

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Summary:症例は85歳,女性.他疾患で近医に通院中.健診目的の腹部超音波検査で胆嚢腫瘍を指摘され,当院へ紹介となった.腫瘍マーカーはAFP 1,960ng/ml,CEA 7.5ng/mlと高値を認めた.腹部超音波検査・腹部CT・腹部MRIの結果,胆嚢癌,cT2N0M0,cStage IIの診断となり,開腹胆嚢床合併胆嚢摘出術を施行した.病理検査では胆嚢腫瘍は中分化乳頭腺癌の成分と肝細胞癌に類似した成分の異なる組織が混在しており,胆嚢原発肝様腺癌と診断した.術後,AFP・CEAは正常値に復し,現在4カ月で無再発生存中である.肝様腺癌は肝細胞癌と腺癌の2つの特徴を持つ稀な組織型であり,胃,大腸,肺,膵臓,子宮など様々な臓器での報告がみられるが,胆嚢での報告例は少なく,文献的考察を加えて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.84.928