Shaggy Aortaに生じた上腸間膜動脈塞栓症の1例

症例は80歳台,女性。食後の上腹部痛を主訴に救急搬送された。造影CTで中結腸動脈分岐部遠位の上腸間膜動脈に造影欠損を認め,上腸間膜動脈塞栓症と診断した。しかし,側副血行路を介して腸管の造影効果は保たれており,また腹部所見は比較的軽度であった。胸部大動脈壁は不均一に毛羽立ってみえshaggy aortaと診断した。全身ヘパリン投与による保存療法を行ったが,腹部症状が増悪したため受診から約18時間後に緊急手術を施行した。上腸間膜動脈の塞栓子を摘除し血流再開を得たが,色調が回復しなかった回盲部と上部空腸を切除した。その後,短腸症候群を回避するために,2回にわたり分割手術を行い最終的に小腸を約200c...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 43; no. 4; pp. 761 - 764
Main Authors 高石, 聡, 当間, 智子, 岩崎, 好太郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 31.05.2023
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.43.761

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Summary:症例は80歳台,女性。食後の上腹部痛を主訴に救急搬送された。造影CTで中結腸動脈分岐部遠位の上腸間膜動脈に造影欠損を認め,上腸間膜動脈塞栓症と診断した。しかし,側副血行路を介して腸管の造影効果は保たれており,また腹部所見は比較的軽度であった。胸部大動脈壁は不均一に毛羽立ってみえshaggy aortaと診断した。全身ヘパリン投与による保存療法を行ったが,腹部症状が増悪したため受診から約18時間後に緊急手術を施行した。上腸間膜動脈の塞栓子を摘除し血流再開を得たが,色調が回復しなかった回盲部と上部空腸を切除した。その後,短腸症候群を回避するために,2回にわたり分割手術を行い最終的に小腸を約200cm残存せしめた。病理組織学検査の結果,塞栓子は血栓ではなく粥腫であった。まれながらshaggy aortaからの粥腫が塞栓を起こすことがあり,塞栓子の外科的摘出を考慮する必要があると思われた。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.43.761