腹腔内に囊胞形成した結核性腹壁膿瘍の1例

腹腔内に囊胞形成した結核性腹壁膿瘍の1例を報告する。症例は肺結核治療歴のある85歳の男性で,腹壁からの排膿を主訴に受診した。当院受診の8ヵ月前,前医で腹膜癌の疑いで腹腔ポートを造設された。しかし,腹水に結核菌を認めたため結核性腹膜炎と診断され,抗結核薬の内服がはじまった。その4ヵ月後,ポート造設部に膿瘍を認めポートが抜去された。膿性排液からは結核菌群のみが検出され抗結核薬が継続されたが,抜去創から排膿が続き当科紹介となった。CTで腹壁直下の腹腔内に囊胞状の液体貯留を認め,経皮的にドレーンを留置し洗浄を開始した。囊胞内容液からは結核菌polymerase chain reaction陽性とメチシ...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 40; no. 5; pp. 697 - 700
Main Authors 岡崎, 由季, 塚本, 忠司, 西口, 幸雄, 江口, 真平, 高塚, 聡, 貝崎, 亮二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 31.07.2020
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.40.697

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Summary:腹腔内に囊胞形成した結核性腹壁膿瘍の1例を報告する。症例は肺結核治療歴のある85歳の男性で,腹壁からの排膿を主訴に受診した。当院受診の8ヵ月前,前医で腹膜癌の疑いで腹腔ポートを造設された。しかし,腹水に結核菌を認めたため結核性腹膜炎と診断され,抗結核薬の内服がはじまった。その4ヵ月後,ポート造設部に膿瘍を認めポートが抜去された。膿性排液からは結核菌群のみが検出され抗結核薬が継続されたが,抜去創から排膿が続き当科紹介となった。CTで腹壁直下の腹腔内に囊胞状の液体貯留を認め,経皮的にドレーンを留置し洗浄を開始した。囊胞内容液からは結核菌polymerase chain reaction陽性とメチシリン感受性黄色ブドウ球菌が認められ,腹腔内に囊胞形成した結核性腹壁膿瘍に混合感染が生じたと考えられた。抗結核薬に抗菌薬の内服を追加し囊胞内洗浄を続けたところ,膿瘍は消褪し,以後再燃せず経過している。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.40.697