大腿動脈狭窄部の病理診断で発見された左房粘液腫の1治験例
心臓粘液腫は心臓腫瘍の中で最も頻度が高く, この疾患の発症形式は, 腫瘍それ自体による症状だけではなく, 腫瘍の塞栓症状によることも多い. 本症例は塞栓子が左浅大腿動脈に生着後, 増大して大腿動脈狭窄を起こしたと考えられ, 同部の術中所見と病理所見で心臓粘液腫と診断, その後の心エコー検査で左房粘液腫の診断にいたった. 近年, 閉塞性動脈疾患に対して経皮的血管形成術(percutaneous transluminal angioplasty; PTA)が第1選択となりつつあるが, このような腫瘍性病変もあり得ることを念頭に置き, 特に画像診断上, 閉塞性動脈硬化症に合致しない場合には, 安易に...
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Published in | 心臓 Vol. 42; no. 9; pp. 1207 - 1211 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益財団法人 日本心臓財団
2010
日本心臓財団 |
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ISSN | 0586-4488 2186-3016 |
DOI | 10.11281/shinzo.42.1207 |
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Summary: | 心臓粘液腫は心臓腫瘍の中で最も頻度が高く, この疾患の発症形式は, 腫瘍それ自体による症状だけではなく, 腫瘍の塞栓症状によることも多い. 本症例は塞栓子が左浅大腿動脈に生着後, 増大して大腿動脈狭窄を起こしたと考えられ, 同部の術中所見と病理所見で心臓粘液腫と診断, その後の心エコー検査で左房粘液腫の診断にいたった. 近年, 閉塞性動脈疾患に対して経皮的血管形成術(percutaneous transluminal angioplasty; PTA)が第1選択となりつつあるが, このような腫瘍性病変もあり得ることを念頭に置き, 特に画像診断上, 閉塞性動脈硬化症に合致しない場合には, 安易にPTAを行うべきではないと考える. |
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ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo.42.1207 |