慢性C型肝炎患者に生じた口腔扁平苔癬の臨床的検討

口腔扁平苔癬(OLP)の発症にC型肝炎ウイルス(HCV)感染が関与しているとの報告が散見される。そこで今回われわれは,HCV感染者に生じたOLPについて臨床的に検討したので報告する。対象は当科にて臨床・病理組織学的にOLPと診断し,HCVに感染している24例(HCV群)で,HCVに感染していない130例(対照群)を対照として,年齢,性別,病変数,発症部位,臨床型,治療効果および癌化率について比較検討した。性別,年齢,病変数および発症部位は両群間に有意差は認められなかったが,HCV群の臨床型は対照群に比べビラン・潰瘍型が有意に多かった。HCV群は対照群に比べ治療効果が優れていたが,再燃例が有意に...

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Published in日本口腔内科学会雑誌 Vol. 27; no. 2; pp. 52 - 58
Main Authors 北村, 直也, 大野, 清二, 笹部, 衣里, 山本, 哲也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本口腔内科学会 2021
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ISSN2186-6147
2186-6155
DOI10.6014/jjsom.27.52

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Summary:口腔扁平苔癬(OLP)の発症にC型肝炎ウイルス(HCV)感染が関与しているとの報告が散見される。そこで今回われわれは,HCV感染者に生じたOLPについて臨床的に検討したので報告する。対象は当科にて臨床・病理組織学的にOLPと診断し,HCVに感染している24例(HCV群)で,HCVに感染していない130例(対照群)を対照として,年齢,性別,病変数,発症部位,臨床型,治療効果および癌化率について比較検討した。性別,年齢,病変数および発症部位は両群間に有意差は認められなかったが,HCV群の臨床型は対照群に比べビラン・潰瘍型が有意に多かった。HCV群は対照群に比べ治療効果が優れていたが,再燃例が有意に多く認められた。HCV群の癌化率は8.3%で,対照群の3.8%より高値であった。以上より,HCV群は治療が奏功しやすいが再燃しやすく,さらに癌化率が高いため,長期の経過観察が必要であると考えられた。
ISSN:2186-6147
2186-6155
DOI:10.6014/jjsom.27.52