タイ国駐在邦人の運動習慣とストレス

目的: 今日, 海外に長期にわたり駐在する邦人の数は永住者および長期滞在者を合わせると100万人を超え, その中でもタイ国にはバンコクを中心に36,327人 (2005年) の在留邦人が暮らしている. 本研究では, 海外長期滞在者の健康づくりに資するデータを提供することを目的とし, タイ国駐在邦人の運動習慣について調査し, 運動による生活習慣病の予防やストレスの軽減との関連を分析した.対象と方法: 2005年12月, タイ国バンコクにて20歳以上の在留邦人を対象にクラスター抽出によりバンコク周辺に事業所を置く日本の企業および日本人学校を無作為に抽出し, 職員およびその家族119名に対し運動習慣...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in順天堂医学 Vol. 53; no. 4; pp. 581 - 587
Main Authors 鈴木, 大地, 松葉, 剛, 稲葉, 裕
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 順天堂医学会 2007
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0022-6769
2188-2134
DOI10.14789/pjmj.53.581

Cover

More Information
Summary:目的: 今日, 海外に長期にわたり駐在する邦人の数は永住者および長期滞在者を合わせると100万人を超え, その中でもタイ国にはバンコクを中心に36,327人 (2005年) の在留邦人が暮らしている. 本研究では, 海外長期滞在者の健康づくりに資するデータを提供することを目的とし, タイ国駐在邦人の運動習慣について調査し, 運動による生活習慣病の予防やストレスの軽減との関連を分析した.対象と方法: 2005年12月, タイ国バンコクにて20歳以上の在留邦人を対象にクラスター抽出によりバンコク周辺に事業所を置く日本の企業および日本人学校を無作為に抽出し, 職員およびその家族119名に対し運動習慣に関する質問紙調査を行った. その結果118名 (男性84名, 女性30名, 記載不明4名) より回答が得られた. その内希望者に対し血圧 (60名) および内臓脂肪 (58名) の測定を行った. ストレス測定に関しては一般健康調査票 (General Health Questionnaire) 12 (GHQ12) を用いた.結果および考察: タイ国駐在邦人においては運動施設へのアクセスがよく, 定期的な運動習慣を持つものが多かった. 特にバンコクでは周りに先進工業国と同等の運動施設を備え, 駐在員や家族が定期的運動を継続し易い環境にあることが示唆された. 身体測定値では定期的運動群と非定期的運動群との間に統計学的な有意差を認めるものは見られなかったが, 拡張期血圧に関しては有意差は認められないものの定期的運動群のほうが低い値を示した. 生活満足度については, 有意差はないものの定期運動群のほうで〈ふつう〉以上の回答が多くみられた. 環境要因を除くと共分散構造分析において運動がもっとも健康な生活に影響を与える要因となっていた. 個人の行動変容によって改善が期待される要因として, 運動は食生活やストレスといった要因より影響のあることが示された.
ISSN:0022-6769
2188-2134
DOI:10.14789/pjmj.53.581