ペースメーカーリードに関連する上大静脈症候群に対し,浅大腿静脈を用いてバイパス手術を施行した一例

86歳男性.4年前に完全房室ブロックに対しペースメーカー植え込み術を施行された.2年前に糖尿病性腎症に対し,右前腕に内シャントを作成し透析導入となった.顔面と右上肢の浮腫を主訴に前医を受診し,静脈灌流障害を疑われ当院へ紹介となった.静脈造影にて,左無名静脈と上大静脈遠位の血栓閉塞を認め,ペースメーカー留置患者における上大静脈の血栓閉塞に伴う上大静脈症候群の診断となった.左上肢は側副血行路が発達していたため,右無名静脈の灌流再開が必要と判断し,胸骨部分切開による右無名静脈–上大静脈バイパスを施行した.グラフトは浅大腿静脈を使用した.術後経過は良好であり,右上肢および顔面の浮腫は著明に改善した....

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Published in日本血管外科学会雑誌 Vol. 29; no. 2; pp. 99 - 101
Main Authors 松森, 正術, 村上, 博久, 野村, 佳克, 田中, 裕史, 向原, 伸彦, 河嶋, 基晴
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本血管外科学会 18.04.2020
日本血管外科学会
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ISSN0918-6778
1881-767X
DOI10.11401/jsvs.19-00063

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Summary:86歳男性.4年前に完全房室ブロックに対しペースメーカー植え込み術を施行された.2年前に糖尿病性腎症に対し,右前腕に内シャントを作成し透析導入となった.顔面と右上肢の浮腫を主訴に前医を受診し,静脈灌流障害を疑われ当院へ紹介となった.静脈造影にて,左無名静脈と上大静脈遠位の血栓閉塞を認め,ペースメーカー留置患者における上大静脈の血栓閉塞に伴う上大静脈症候群の診断となった.左上肢は側副血行路が発達していたため,右無名静脈の灌流再開が必要と判断し,胸骨部分切開による右無名静脈–上大静脈バイパスを施行した.グラフトは浅大腿静脈を使用した.術後経過は良好であり,右上肢および顔面の浮腫は著明に改善した.
ISSN:0918-6778
1881-767X
DOI:10.11401/jsvs.19-00063