心臓の再灌流障害とマグネシウム

心臓の虚血-再灌流障害からの心筋保護は様々な観点から研究が続けられている. われわれは虚血-再灌流障害におけるマグネシウム (Mg2+) の役割に注目して検討を重ねてきた. その結果, Mgは従来考えられてきた《天然のCaブロッカー》としての働き以外のメカニズムによっても心筋保護作用を発揮していることが明らかとなって来た. 低酸素灌流中のMg濃度を上昇させておくと, 再酸素化後の収縮力の回復が著明に改善される. この保護効果はミトコンドリアのKATpチャネル阻害剤である5-hydroxydecanoic acidにより消失する. また, ミトコンドリアのKATpチャネルを開口させることによって...

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Published in順天堂医学 Vol. 52; no. 1; pp. 28 - 34
Main Author 岡田, 隆夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 順天堂医学会 2006
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ISSN0022-6769
2188-2134
DOI10.14789/pjmj.52.28

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Summary:心臓の虚血-再灌流障害からの心筋保護は様々な観点から研究が続けられている. われわれは虚血-再灌流障害におけるマグネシウム (Mg2+) の役割に注目して検討を重ねてきた. その結果, Mgは従来考えられてきた《天然のCaブロッカー》としての働き以外のメカニズムによっても心筋保護作用を発揮していることが明らかとなって来た. 低酸素灌流中のMg濃度を上昇させておくと, 再酸素化後の収縮力の回復が著明に改善される. この保護効果はミトコンドリアのKATpチャネル阻害剤である5-hydroxydecanoic acidにより消失する. また, ミトコンドリアのKATpチャネルを開口させることによって心筋保護効果を発揮すると考えられているpreconditioningはMgによる保護効果を増強しないが, 活性酸素の発生を抑制することによって保護効果を発揮するpostconditioningはMgの保護効果を増強した. 高Mgは形態学的にも, 機能的にもミトコンドリア保護に働いており, 高Mgの心筋保護メカニズムの本体はミトコンドリアKATPチャネルの開口にあると考えられた.
ISSN:0022-6769
2188-2134
DOI:10.14789/pjmj.52.28