子どもの発達支援のための足部の形状評価システムの開発

[背景] 小学生の4割に外反母趾が発生していると報告されている.外反母趾の原因は,靴などの外的因子も挙げられるが,骨格形状の影響が大きいと考えられる.発達の観点から,足部の骨格形成は20歳で完成する.10歳前後は軟骨であった足部の骨化が盛んな時期であり,課題が明らかになれば早期介入で改善の可能性が高いと考えられる.しかし足部の骨格形成を評価するシステムはなく,定量的調査は行われていない.[目的] 本研究では,足部形状を評価するためのシステムを開発し,有用性と足部の課題の調査を行った.開発したシステムは,スマートフォンを用いて対象者の足部周囲を360度撮影することで,足部の3次元再構成が実現でき...

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Published inTransactions of Japanese Society for Medical and Biological Engineering Vol. Annual56; no. Abstract; p. S363
Main Authors 山下, 和彦, 李家, 中豪, 山田, 憲嗣, 山下, 知子, 吉原, 正宣
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2018
Japanese Society for Medical and Biological Engineering
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Summary:[背景] 小学生の4割に外反母趾が発生していると報告されている.外反母趾の原因は,靴などの外的因子も挙げられるが,骨格形状の影響が大きいと考えられる.発達の観点から,足部の骨格形成は20歳で完成する.10歳前後は軟骨であった足部の骨化が盛んな時期であり,課題が明らかになれば早期介入で改善の可能性が高いと考えられる.しかし足部の骨格形成を評価するシステムはなく,定量的調査は行われていない.[目的] 本研究では,足部形状を評価するためのシステムを開発し,有用性と足部の課題の調査を行った.開発したシステムは,スマートフォンを用いて対象者の足部周囲を360度撮影することで,足部の3次元再構成が実現でき,特徴量を抽出することで評価を行う.本システムを用いて解析対象とした部位は,中足部の回内,足部の厚み等である.足部の医学的調査は足部を専門とする医師が評価した.[方法] 対象者は小学生250名である.対象者は自然な立位を保持し,視点は1点を見つめ,動かないよう指示した.撮影時間は約10秒である.[結果・考察] その結果,医学的見地から,7割を超える対象者に対策すべき課題があり,そのうち2割は早期介入が必要であることがわかった.さらに本システムで,回内足などの定量的評価が行える可能性が示唆された. 以上より,本システムで足部の課題を抽出することで足部の発達支援につなげられる可能性が見出された.
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual56.S363