多能性幹細胞を用いた 膵 β 細胞分化誘導研究の最新動向

膵β細胞は, 唯一の血糖降下作用ホルモンであるインスリンを分泌する細胞である. この膵β細胞が喪失し, インスリンが枯渇する糖尿病患者に対する根治療法として膵・膵島移植が行われている. しかしながら, 膵・膵島移植はドナー数不足という問題を抱えており, これを解決しうる方法の一つとして再生医療が期待されている. 一般に, 膵β細胞はin vitroで増殖させることが困難である. そこで, 代替細胞を供給する方法として自己複製能と多分化能を有する幹細胞を用いた機能的な膵β細胞の分化誘導法の開発が世界中で試みられている. 数ある幹細胞のなかでも多能性を有している二つの細胞, すなわち, 受精卵の胚...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inOrgan Biology Vol. 21; no. 2; pp. 228 - 236
Main Authors 髙橋, 禎暢, 武部, 貴則, 谷口, 英樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本臓器保存生物医学会 10.07.2014
日本臓器保存生物医学会
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1340-5152
2188-0204
DOI10.11378/organbio.21.228

Cover

Loading…
More Information
Summary:膵β細胞は, 唯一の血糖降下作用ホルモンであるインスリンを分泌する細胞である. この膵β細胞が喪失し, インスリンが枯渇する糖尿病患者に対する根治療法として膵・膵島移植が行われている. しかしながら, 膵・膵島移植はドナー数不足という問題を抱えており, これを解決しうる方法の一つとして再生医療が期待されている. 一般に, 膵β細胞はin vitroで増殖させることが困難である. そこで, 代替細胞を供給する方法として自己複製能と多分化能を有する幹細胞を用いた機能的な膵β細胞の分化誘導法の開発が世界中で試みられている. 数ある幹細胞のなかでも多能性を有している二つの細胞, すなわち, 受精卵の胚からつくる胚性幹細胞(embryonic stem cells, ES細胞)と, ヒトの皮膚などの細胞をリプログラミングし作製する人工多能性幹細胞(induced pluripotent stem cells, iPS細胞)を用いた手法に注目が集まっている.
ISSN:1340-5152
2188-0204
DOI:10.11378/organbio.21.228