両側後縦隔に発生した多発性骨髄脂肪腫の1例

症例は68歳,男性,前立腺癌術前CTにて右肺上葉に6×7mmの結節および両側後縦隔に多発集簇する結節を指摘され,当科へ紹介となる.転移性肺癌および脂肪成分を含む縦隔腫瘍が疑われ,胸腔鏡下肺部分切除および縦隔腫瘍生検を施行した.肺結節は自動縫合器を使用し,結節より距離を確保し切除した.迅速病理では前立腺癌からの転移性肺癌が疑われた.縦隔腫瘍は壁側胸膜外より胸腔内に隆起する暗赤色の結節として確認できた.胸膜を電気メスにて切開すると赤色ゲル状,易出血性の組織であった.組織の一部を採取し病理へ提出した.永久標本の病理組織学的検査にて肺結節は原発性肺癌,縦隔腫瘍は骨髄脂肪腫と診断された.両側後縦隔に多発...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 84; no. 1; pp. 47 - 51
Main Authors 安里, 昌哉, 照屋, 剛, 我喜屋, 亮, 嵩下, 英次郎, 喜友名, 正也, 仲地, 厚
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2023
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.84.47

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Summary:症例は68歳,男性,前立腺癌術前CTにて右肺上葉に6×7mmの結節および両側後縦隔に多発集簇する結節を指摘され,当科へ紹介となる.転移性肺癌および脂肪成分を含む縦隔腫瘍が疑われ,胸腔鏡下肺部分切除および縦隔腫瘍生検を施行した.肺結節は自動縫合器を使用し,結節より距離を確保し切除した.迅速病理では前立腺癌からの転移性肺癌が疑われた.縦隔腫瘍は壁側胸膜外より胸腔内に隆起する暗赤色の結節として確認できた.胸膜を電気メスにて切開すると赤色ゲル状,易出血性の組織であった.組織の一部を採取し病理へ提出した.永久標本の病理組織学的検査にて肺結節は原発性肺癌,縦隔腫瘍は骨髄脂肪腫と診断された.両側後縦隔に多発する骨髄脂肪腫は非常に稀であり,若干の文献的考察を加えて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.84.47