Skeletal Class II症例における下顎枝矢状分割術施行時の近位骨片の位置復元に関する臨床的検討

緒言 Skeletal Class II症例に対して下顎枝矢状分割術を行った場合, 術後の後戻りによって咬合の安定を得る事ができない症例に遭遇する事がある. そこで下顎枝矢状分割術施行時にオーバーコレクションし, 骨縫合によるルーズな骨片固定をすることで下顎頭への負荷を軽減する術式を選択し, 術後の下顎頭の位置と咬合状態および下顎骨形態の変化について検討したのでその概要を報告する. 対象と方法 対象は当科において下顎枝矢状分割術を施行したskeletal Class II症例男性2名, 女性6名の計8名(年齢は20~38歳, 平均24歳, 平均前方移動量4.3mm, 最大10mm, 最小2mm...

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Published in日本顎変形症学会雑誌 Vol. 15; no. 1; pp. 41 - 46
Main Authors 山口, 万枝, 渥美, 智仁, 高橋, 一朗, 古田, 治彦, 堀内, 薫, 小渕, 匡清, 橋本, 賢二, 野村, 太作
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本顎変形症学会 2005
日本顎変形症学会
Subjects
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ISSN0916-7048
1884-5045
DOI10.5927/jjjd1991.15.41

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Summary:緒言 Skeletal Class II症例に対して下顎枝矢状分割術を行った場合, 術後の後戻りによって咬合の安定を得る事ができない症例に遭遇する事がある. そこで下顎枝矢状分割術施行時にオーバーコレクションし, 骨縫合によるルーズな骨片固定をすることで下顎頭への負荷を軽減する術式を選択し, 術後の下顎頭の位置と咬合状態および下顎骨形態の変化について検討したのでその概要を報告する. 対象と方法 対象は当科において下顎枝矢状分割術を施行したskeletal Class II症例男性2名, 女性6名の計8名(年齢は20~38歳, 平均24歳, 平均前方移動量4.3mm, 最大10mm, 最小2mm)である. 近位骨片復位は単一術者が可及的骨片復位法を用いて行い, 骨縫合による骨接合を行った. 可及的近位骨片復位法は喜久田式ゲージを参考に自作した距離計測ゲージを用いて行った(Fig. 1). 操作手 順は術前の中心位にて顎間固定を行い, 距離計測を行い, 分割後に近位骨片を分割前に計測した距離に復位し骨片固定を行った. また, 術中術後の顎間固定にはオーバーコレクション目的のサージカルスプリントを用いた. 顎間固 定は術後1日目より4週間行った. 顎関節規格断層写真は術直前, 術直後(手術翌日, 術後3か月に撮影し, 側面頭部X線規格写真は術直前, 術直後(手術翌日, 術後10 ~12か月時に撮影した. 顎関節規格断層写真による下顎頭の経時的位置変化は下顎窩後突起と関節結節最下点を結んだ直線を基準線とし, この基準線から下顎頭最高点までの距離を計測した(Fig. 2). 実測値では症側間に差が生じるため, 術前の計測値を基準値に換算し, その基準値をもとに術後の計測値を相対評価した. また, 側面頭部X線規格写真での下顎骨形態の計測はAr(Articulare)-Me(Menton)間距離, FH平面に平行なArを通る直線に対してMeからの垂線の交点に対して水平距離をAr-Me(h), 垂直距離をAr-Me(V)とし, その距離の経時的変化を計測した(Fig. 3).
ISSN:0916-7048
1884-5045
DOI:10.5927/jjjd1991.15.41