発作時の緊急冠動脈造影にて一過性の側副血行路を認めた冠攣縮性狭心症の1例

症例は,42歳,男性.2010年7月ごろより胸痛を自覚.近医にて肥大型心筋症を疑われβ遮断薬を処方されたが,その後,症状が増悪したため精査加療目的で当科紹介受診.来院時に胸痛を自覚しており,心電図にてV1〜4誘導の陰性T波を認めたため急性冠症候群を疑い緊急冠動脈造影施行.右冠動脈から右室枝を介する左前下行枝への側副血行路を認め,また右冠動脈近位部に90%狭窄を認めたが,硝酸薬の冠動脈内注入により側副血行路,狭窄は消失.左右冠動脈ともに器質的狭窄を認めないことから冠攣縮性狭心症と診断した.本例は,以前より胸痛を自覚していたことから,冠攣縮による慢性心筋虚血により器質的狭窄がないにもかかわらず側副...

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Published in心臓 Vol. 44; no. 10; pp. 1296 - 1300
Main Authors 新, 博次, 小谷, 英太郎, 西城, 由之, 小杉, 宗範, 渋井, 俊之, 中込, 明裕, 加藤, 活人, 小橋, 啓一, 進藤, 朝子, 吉川, 雅智, 草間, 芳樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 15.10.2012
日本心臓財団・日本循環器学会
Subjects
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.44.1296

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Summary:症例は,42歳,男性.2010年7月ごろより胸痛を自覚.近医にて肥大型心筋症を疑われβ遮断薬を処方されたが,その後,症状が増悪したため精査加療目的で当科紹介受診.来院時に胸痛を自覚しており,心電図にてV1〜4誘導の陰性T波を認めたため急性冠症候群を疑い緊急冠動脈造影施行.右冠動脈から右室枝を介する左前下行枝への側副血行路を認め,また右冠動脈近位部に90%狭窄を認めたが,硝酸薬の冠動脈内注入により側副血行路,狭窄は消失.左右冠動脈ともに器質的狭窄を認めないことから冠攣縮性狭心症と診断した.本例は,以前より胸痛を自覚していたことから,冠攣縮による慢性心筋虚血により器質的狭窄がないにもかかわらず側副血行路が発達し,かつ発作時に緊急冠動脈造影を施行したことによりその存在が同定されたものと推察された.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.44.1296