構造的変化に先行して電気生理学的変化を認めた房室中隔腫瘤形成転移性心臓腫瘍の1例

症例は,85歳,男性.73歳時に拡張型心筋症と診断されている.2007年7月,悪性リンパ腫(非ホジキンリンパ腫)と診断され,化学療法を施行された.それ以後,外来に通院中であった.この際,心電図で1度房室ブロックを認めていたが,2009年11月完全房室ブロックに起因するめまいが出現し入院した.入院1カ月後の経胸壁心エコー図で入院時にはみられなかった心房中隔から房室中隔の腫瘤像,経食道心エコー図で左房前壁の腫瘤像,胸部CTで肺動脈周囲軟部影と縦隔・肺門部リンパ節腫大を認め,可溶性IL-2レセプターの著明な上昇(7,180U/mL)より悪性リンパ腫の心臓転移と診断した.ペースメーカー植え込み術後,め...

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Published in心臓 Vol. 44; no. 10; pp. 1290 - 1295
Main Authors 川口, 直美, 遠藤, 康実, 新, 博次, 小谷, 英太郎, 中込, 明裕, 岡崎, 怜子, 中島, 正之, 井川, 修, 渋谷, 純, 草間, 芳樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 15.10.2012
日本心臓財団・日本循環器学会
Subjects
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.44.1290

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Summary:症例は,85歳,男性.73歳時に拡張型心筋症と診断されている.2007年7月,悪性リンパ腫(非ホジキンリンパ腫)と診断され,化学療法を施行された.それ以後,外来に通院中であった.この際,心電図で1度房室ブロックを認めていたが,2009年11月完全房室ブロックに起因するめまいが出現し入院した.入院1カ月後の経胸壁心エコー図で入院時にはみられなかった心房中隔から房室中隔の腫瘤像,経食道心エコー図で左房前壁の腫瘤像,胸部CTで肺動脈周囲軟部影と縦隔・肺門部リンパ節腫大を認め,可溶性IL-2レセプターの著明な上昇(7,180U/mL)より悪性リンパ腫の心臓転移と診断した.ペースメーカー植え込み術後,めまいは軽快するも低血圧が持続し,全身状態の悪化により翌年1 月永眠した.構造的変化に先行して房室中隔領域への転移による房室伝導障害をきたした例と考えられ,解剖学的検討を加え,報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.44.1290