鼻腔異物の臨床統計的研究

鼻腔異物は,日常外来でしばしば遭遇する疾患である.病態が単純であり診断も用意であるためか臨床像の分析あるいは多数例に基づく臨床統計的な検討についての報告が少ない. 本研究では,1986年1月から1998年12月までの13年間に埼玉医科大学•耳鼻咽喉科を初診し病歴の記載が明らかで診断が確定した鼻腔異物299症例の臨床像につき検討し臨床統計的研究を行った. 13年間の鼻腔異物症例は,299症例で同時期の新患患者数は55,312名で,新患患者に占める鼻腔異物の割合は,0.54%であった. 異物症例の受診時間帯をみると時間外を受診したのは217症例(72.6%)であった. 性別は,男性172症例(58...

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Published in日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 103; no. 11; pp. 1212 - 1217
Main Authors 三島, 陽人, 和田, 伊佐雄, 飛田, 正, 加瀬, 康弘, 飯沼, 壽孝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会 2000
日本耳鼻咽喉科学会
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ISSN0030-6622
1883-0854
DOI10.3950/jibiinkoka.103.1212

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Summary:鼻腔異物は,日常外来でしばしば遭遇する疾患である.病態が単純であり診断も用意であるためか臨床像の分析あるいは多数例に基づく臨床統計的な検討についての報告が少ない. 本研究では,1986年1月から1998年12月までの13年間に埼玉医科大学•耳鼻咽喉科を初診し病歴の記載が明らかで診断が確定した鼻腔異物299症例の臨床像につき検討し臨床統計的研究を行った. 13年間の鼻腔異物症例は,299症例で同時期の新患患者数は55,312名で,新患患者に占める鼻腔異物の割合は,0.54%であった. 異物症例の受診時間帯をみると時間外を受診したのは217症例(72.6%)であった. 性別は,男性172症例(58%),女性127症例(42%)であった.左右別では,右側166症例(57%),左側123症例(42%),両側3症例(1%)であった. 受診月別にみると月平均25症例で1月は少なく,11,12月に多く認めた.年齢分布では,平均年齢4.0磯で,生後1ヵ月の乳児から81歳までみられたが,6症例を除いては10歳以下の小児であった. 種類別にみると玩具類が多かった.その中でもソフトエアーガンに使用するプラスチック製の球状弾が46症例(15.3%)と最も多く,次いでビーズが36症例(12.0%)であった.その他で比較的多く認めたものは,ティッシュペーパー,ボタン.プラスチック製の玩具などであった.
ISSN:0030-6622
1883-0854
DOI:10.3950/jibiinkoka.103.1212