心室頻拍に対する電気的除細動から心室ペーシング不全をきたした心サルコイドーシスの1剖検例
症例は, 81歳, 男性. 完全房室ブロックのため, 恒久型ペースメーカー植え込み1年後に持続性心室頻拍 (ventricular tachycardia ; VT) が出現し搬送された. 心臓超音波検査で心室中隔基部の菲薄化所見が顕在化したことから, 心サルコイドーシスが疑われた. 経過中VTストームに陥り, VTは血行動態が不安定なため5回電気的除細動 (cardioversion ; CV) を行った後, 閾値上昇から心室ペーシング不全となった. 第2病日に心不全で死亡し, 剖検を行った. 心室中隔を中心に線維性病変と混在する非乾酪性類上皮細胞肉芽腫の所見から, 心サルコイドーシスと診断...
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Published in | 心臓 Vol. 45; no. 5; pp. 548 - 554 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益財団法人 日本心臓財団
2013
日本心臓財団・日本循環器学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0586-4488 2186-3016 |
DOI | 10.11281/shinzo.45.548 |
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Summary: | 症例は, 81歳, 男性. 完全房室ブロックのため, 恒久型ペースメーカー植え込み1年後に持続性心室頻拍 (ventricular tachycardia ; VT) が出現し搬送された. 心臓超音波検査で心室中隔基部の菲薄化所見が顕在化したことから, 心サルコイドーシスが疑われた. 経過中VTストームに陥り, VTは血行動態が不安定なため5回電気的除細動 (cardioversion ; CV) を行った後, 閾値上昇から心室ペーシング不全となった. 第2病日に心不全で死亡し, 剖検を行った. 心室中隔を中心に線維性病変と混在する非乾酪性類上皮細胞肉芽腫の所見から, 心サルコイドーシスと診断した. 右室中隔の心室リード先端付着部近傍の心内膜下領域は非乾酪性類上皮細胞肉芽腫で包囲されており, リード先端付着部位は心筋の間質浮腫や血管の拡張を呈し頻回のCVによる直接の電流傷害所見であった. 心室中隔の線維化の進展の中で残存していた正常心筋に電流傷害を生じたことがCV後のデバイス不全出現の主要因であると推測された. |
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ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo.45.548 |