生後早期より高度肺高血圧が持続し剖検により 肺小動脈低形成,肺血管の不正配列を認めた乳児例

肺血管,肺組織の発生異常は致死的な経過をたどる予後不良な疾患であるが,その頻度は稀であり分類や診断については不明な点も多い.症例は在胎39週1日,3,584gで仮死なく出生したが,生後48時間ころから著明なチアノーゼが出現した.酸素投与,鎮静開始後も症状は進行し生後7日目に当院へ転院となった.エコー上,体血圧を凌駕する高度の肺高血圧を認め,卵円孔および動脈管の血流はいずれも右左シャントであった.心内の構造異常や他臓器の合併奇形は認めなかった.転院後,人工呼吸器管理と肺血管拡張薬(NO+エポプロステノール)を開始し,その後,シルデナフィル,ボセンタンも併用した.肺血管拡張薬により一定の効果はみら...

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Published in心臓 Vol. 45; no. 7; pp. 789 - 795
Main Authors 石井, 卓西山光則
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 15.07.2013
日本心臓財団・日本循環器学会
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Summary:肺血管,肺組織の発生異常は致死的な経過をたどる予後不良な疾患であるが,その頻度は稀であり分類や診断については不明な点も多い.症例は在胎39週1日,3,584gで仮死なく出生したが,生後48時間ころから著明なチアノーゼが出現した.酸素投与,鎮静開始後も症状は進行し生後7日目に当院へ転院となった.エコー上,体血圧を凌駕する高度の肺高血圧を認め,卵円孔および動脈管の血流はいずれも右左シャントであった.心内の構造異常や他臓器の合併奇形は認めなかった.転院後,人工呼吸器管理と肺血管拡張薬(NO+エポプロステノール)を開始し,その後,シルデナフィル,ボセンタンも併用した.肺血管拡張薬により一定の効果はみられたものの低酸素血症と高度の肺高血圧は持続し,生後11カ月時に呼吸不全により死亡した.病理所見では肺小動脈の著明な低形成と肺血管の不正配列,一部では肺胞低形成や毛細血管のうっ血所見を認めた.臨床経過および前述の病理所見から,本症例はalveolar capillary dysplasiaを主体としたdiffuse developmental disordersのoverlap症例と考えられた.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.45.789