学校心臓検診にて発見されたHypokinetic non-dilated cardiomyopathyの1例

• Published in: 心臓 Vol. 51; no. 9; pp. 941 - 948
• Main Authors: 岩島, 覚, 森川, 修司, 西尾, 友宏, 紅林, 伸丈, 早野, 聡, 矢田, 宗一郎, 城向, 裕美子, 田中, 智大, 久保田, 登志子, 塩澤, 亮輔, 久保田, 晃, 櫻井, 史記
• Format: Journal Article
• Language: Japanese
• Published: 公益財団法人 日本心臓財団 15.09.2019; 日本心臓財団・日本循環器学会
• Subjects: Hypokinetic non-dilated cardiomyopathy; 学校検診; 心室性期外収縮(PVC); 拡張型心筋症(DCM)
• ISSN: 0586-4488; 2186-3016
• DOI: 10.11281/shinzo.51.941

学校心臓検診の目的の一つは器質的疾患の早期発見である．今回我々は，学校心臓検診で指摘された心室性期外収縮（PVC）を契機にHypokinetic non-dilated cardiomyopathy（HNDC）の診断に至った症例を経験した．　症例は15歳男児，学校検診でPVCを指摘され精査目的に近医を受診した．近医で再検された12誘導心電図においてV1-V3でT波の陰転化を指摘された．心臓超音波検査（心エコー）で壁運動の低下と左室壁の軽度の菲薄化を認め，心筋症を疑われたため精査目的に当院紹介受診した．PVCは右室流出路起源で運動負荷にて消失した．心筋症精査のため行われた心筋生検で中等度の心筋の線維化を認め，左室腔の拡大を伴わないHNDCの診断に至った．診断後はβブロッカーの投与を開始し，PVCは減少し心機能はおおむね横ばいで推移している．また原因検索のため患児，家族の73種の心筋症関連遺伝子について次世代シーケンサを用いて解析したが，有意な遺伝子変異を認めなかった．日常診療や検診の場面でPVCを発見した際は適切なフォローアップや介入の必要があると考えられた．