直腸子宮窩卵巣子宮内膜症性囊胞合併妊娠の4例:経腟超音波ガイド下穿刺術の有用性に関する検討

妊娠期の卵巣子宮内膜症性囊胞は,囊胞破裂や捻転に加え,早産などの周産期合併症や帝王切開術の周術期合併症リスクが高い.直腸子宮窩にある巨大な囊胞は,分娩時の児頭下降を妨げるため帝王切開術の適応となることが多い.一方,帝王切開術の回避を目的とした妊娠期の囊胞縮小術の妥当性に関する報告は少ない.我々は,妊娠期に巨大な直腸子宮窩卵巣子宮内膜症性囊胞を有する4例に対して,経腟超音波ガイド下穿刺を検討した.うち1例は患者が穿刺を希望せず,2例は妊娠14-16週に穿刺し,残り1例は児の成熟度や囊胞が再増大する可能性を考慮し妊娠35週で穿刺した.合併症なく終了し,平均囊胞径は6.1cmから3.1cmに縮小し,...

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Published in日本周産期・新生児医学会雑誌 Vol. 60; no. 2; pp. 245 - 249
Main Authors 牧野, 博朗, 森川, 守, 神谷, 亮雄, 吉田, 彩, 岡田, 英孝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本周産期・新生児医学会 2024
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ISSN1348-964X
2435-4996
DOI10.34456/jjspnm.60.2_245

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Summary:妊娠期の卵巣子宮内膜症性囊胞は,囊胞破裂や捻転に加え,早産などの周産期合併症や帝王切開術の周術期合併症リスクが高い.直腸子宮窩にある巨大な囊胞は,分娩時の児頭下降を妨げるため帝王切開術の適応となることが多い.一方,帝王切開術の回避を目的とした妊娠期の囊胞縮小術の妥当性に関する報告は少ない.我々は,妊娠期に巨大な直腸子宮窩卵巣子宮内膜症性囊胞を有する4例に対して,経腟超音波ガイド下穿刺を検討した.うち1例は患者が穿刺を希望せず,2例は妊娠14-16週に穿刺し,残り1例は児の成熟度や囊胞が再増大する可能性を考慮し妊娠35週で穿刺した.合併症なく終了し,平均囊胞径は6.1cmから3.1cmに縮小し,穿刺した3例とも経腟分娩で出生し周産期予後は良好であった.経腟超音波ガイド下穿刺は,直腸子宮窩卵巣子宮内膜症性囊胞を安全かつ低侵襲に縮小させ,帝王切開術を回避するための有効な治療戦略のひとつである.
ISSN:1348-964X
2435-4996
DOI:10.34456/jjspnm.60.2_245