肝動脈瘤破裂を合併した感染性心内膜炎の1例
心疾患の既往のない70歳代男性.約1カ月前に多発性脳梗塞で近医に入院し,保存的加療にて,後遺症なく退院した.入院中に偶発的に見つかった十二指腸腫瘤の精査目的に当院消化器内科に入院した.入院時,発熱があり抗菌薬治療が開始された.第6病日,突然の腹痛,血圧低下をきたし造影CTにて肝動脈瘤および腹腔内出血を認めたことから,肝動脈瘤破裂による出血性ショックと診断した.破裂肝動脈瘤に対して,経カテーテル動脈塞栓術を施行し止血に成功した.血液培養の結果,口腔内連鎖球菌が検出され,第7病日に経胸壁心エコー検査を行ったところ僧帽弁前尖に疣贅を認め,感染性心内膜炎と診断され当科に紹介された.緊急での手術適応はな...
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Published in | 心臓 Vol. 54; no. 3; pp. 396 - 402 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益財団法人 日本心臓財団
15.03.2022
日本心臓財団・日本循環器学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0586-4488 2186-3016 |
DOI | 10.11281/shinzo.54.396 |
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Summary: | 心疾患の既往のない70歳代男性.約1カ月前に多発性脳梗塞で近医に入院し,保存的加療にて,後遺症なく退院した.入院中に偶発的に見つかった十二指腸腫瘤の精査目的に当院消化器内科に入院した.入院時,発熱があり抗菌薬治療が開始された.第6病日,突然の腹痛,血圧低下をきたし造影CTにて肝動脈瘤および腹腔内出血を認めたことから,肝動脈瘤破裂による出血性ショックと診断した.破裂肝動脈瘤に対して,経カテーテル動脈塞栓術を施行し止血に成功した.血液培養の結果,口腔内連鎖球菌が検出され,第7病日に経胸壁心エコー検査を行ったところ僧帽弁前尖に疣贅を認め,感染性心内膜炎と診断され当科に紹介された.緊急での手術適応はなく抗菌薬治療を継続したが炎症反応の改善が乏しく,第60病日に疣贅摘出ならびに僧帽弁形成術を施行した.感染性心内膜炎に合併する肝動脈瘤破裂は非常に稀であるが,破裂例の死亡率は高く,迅速な対応が必要である.感染性心内膜炎の経過中,急激な腹痛や血圧低下を認めた場合,腹部動脈瘤破裂を鑑別に挙げる必要がある. |
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ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo.54.396 |