維持透析患者に発症した肺高血圧症に対して多剤併用療法が著効した1例

症例は69歳女性.慢性糸球体腎炎により維持透析を導入された.導入4年後に労作時呼吸困難が徐々に増強し,心エコーにて肺高血圧症が疑われ当科紹介となった.右心カテーテル検査では平均肺動脈圧が50 mmHgと高値であった.各種検査で原因は明らかではなく,ニース分類5に相当する慢性腎不全に伴う肺高血圧症と診断した.このため在宅酸素療法を導入して退院した.自宅で酸素を外して洗面中に呼吸停止となったが,蘇生に成功し同日緊急入院となった.入院後ボセンタン,ベラプロスト,シルデナフィルの3剤を導入し,1週間後には平均肺動脈圧は26 mmHgと改善され,症状も軽快した.以降,外来でも経過良好であり,3剤併用が著...

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Published in心臓 Vol. 51; no. 6; pp. 638 - 643
Main Authors 佐藤, 慶和, 山分, 規義, 大森, 真理, 島田, 博史, 清水, 雅人, 鈴木, 誠, 藤井, 洋之, 飯谷, 宗弘, 山上, 洋介, 金田, 俊雄, 萬野, 智子, 垰本, 優太
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 15.06.2019
日本心臓財団・日本循環器学会
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.51.638

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Summary:症例は69歳女性.慢性糸球体腎炎により維持透析を導入された.導入4年後に労作時呼吸困難が徐々に増強し,心エコーにて肺高血圧症が疑われ当科紹介となった.右心カテーテル検査では平均肺動脈圧が50 mmHgと高値であった.各種検査で原因は明らかではなく,ニース分類5に相当する慢性腎不全に伴う肺高血圧症と診断した.このため在宅酸素療法を導入して退院した.自宅で酸素を外して洗面中に呼吸停止となったが,蘇生に成功し同日緊急入院となった.入院後ボセンタン,ベラプロスト,シルデナフィルの3剤を導入し,1週間後には平均肺動脈圧は26 mmHgと改善され,症状も軽快した.以降,外来でも経過良好であり,3剤併用が著効したと考えられた.維持透析患者における肺高血圧症に関して,文献を交えて,病態についての考察を追加する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.51.638