V-A ECMOを要した心原性ショック症例における予後予測因子の検討
背景:心原性ショックは多様な病態を有しており,予後も症例毎で大きく異なる。重症例では機械的循環補助を導入して管理するが,V-A ECMOを要した心原性ショック症例における予後規定因子は不明な点が多い。本研究は,当院におけるV-A ECMOを要した心原性ショック症例の臨床的特徴を調査し,その予後および予後予測因子を検討することを目的とした。方法:2017年1月1日から2022年12月31日に聖マリアンナ医科大学病院で心原性ショックに対してV-A ECMOを導入した症例を後方視的に収集した。院内死亡群,生存退院群に分け臨床的特徴を比較検討した。また院内死亡を予測する因子を検討した。結果:87例が解...
Saved in:
Published in | 聖マリアンナ医科大学雑誌 Vol. 52; no. 3; pp. 51 - 60 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
学校法人 聖マリアンナ医科大学医学会
2024
聖マリアンナ医科大学医学会 |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
Cover
Loading…
Summary: | 背景:心原性ショックは多様な病態を有しており,予後も症例毎で大きく異なる。重症例では機械的循環補助を導入して管理するが,V-A ECMOを要した心原性ショック症例における予後規定因子は不明な点が多い。本研究は,当院におけるV-A ECMOを要した心原性ショック症例の臨床的特徴を調査し,その予後および予後予測因子を検討することを目的とした。方法:2017年1月1日から2022年12月31日に聖マリアンナ医科大学病院で心原性ショックに対してV-A ECMOを導入した症例を後方視的に収集した。院内死亡群,生存退院群に分け臨床的特徴を比較検討した。また院内死亡を予測する因子を検討した。結果:87例が解析対象になった。年齢中央値は62歳,男性が76%を占めた。V-A ECMO導入前の乳酸中央値は8 mmol/L,高感度トロポニンT中央値は0.238 ng/mL,来院時心肺停止症例が37.9%であった。院内死亡は全体の60%(n=52)であった。多変量ロジスティック回帰分析では高感度トロポニンT値,劇症型心筋炎が独立した院内死亡の予測因子であった。結論:V-A ECMOを要する心原性ショック症例において,高感度トロポニンT値および乳酸値が院内死亡の予測に有用である可能性が示唆された。本指標の精度向上のために多施設による更なる症例数の蓄積が必要である。 |
---|---|
ISSN: | 0387-2289 2189-0285 |
DOI: | 10.14963/stmari.52.51 |