L‐グルタミンと亜鉛投与により膵頭十二指腸切除術後の低栄養状態からの改善が得られたと考えられる1例

症例は74歳, 男性. 膵頭部と膵体部に存在する混合型Intraductal papillary mucinous neoplasm (IPMN) に対して亜全胃温存膵頭体部十二指腸切除術Pancreaticoduodenectomy (PD) を施行された. 最終診断はIntraductal papillary mucinous carcinoma (IPMC) で術後補助療法としてTS‐1を術後1カ月から開始された. 術後5カ月で再発は認めないが, 血清アルブミン低値, 下肢浮腫を認めるようになった. ただちに経口補助栄養剤開始となり, 術後7カ月で亜鉛製剤内服が追加となった. また術後1...

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Published in外科と代謝・栄養 Vol. 58; no. 4; pp. 136 - 140
Main Authors 田中, 千弘, 田中, 秀治, 河合, 雅彦, 岩田, 至紀, 満留, 早, 小森, 充嗣, 外村, 俊平, 渡邉, 卓, 末次, 智成, 伊藤, 吉貴, 長尾, 成敏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本外科代謝栄養学会 15.08.2024
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ISSN0389-5564
2187-5154
DOI10.11638/jssmn.58.4_136

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Summary:症例は74歳, 男性. 膵頭部と膵体部に存在する混合型Intraductal papillary mucinous neoplasm (IPMN) に対して亜全胃温存膵頭体部十二指腸切除術Pancreaticoduodenectomy (PD) を施行された. 最終診断はIntraductal papillary mucinous carcinoma (IPMC) で術後補助療法としてTS‐1を術後1カ月から開始された. 術後5カ月で再発は認めないが, 血清アルブミン低値, 下肢浮腫を認めるようになった. ただちに経口補助栄養剤開始となり, 術後7カ月で亜鉛製剤内服が追加となった. また術後10カ月で術後補助化学療法は終了となった. 術後11カ月に浮腫の増悪を認め, L‐グルタミン1320mg/日の内服投与が開始された. その後アルブミン値は改善し, 術後13カ月で浮腫は完全に消失した.  膵切除後の消化吸収・栄養障害に加えて, 膵癌に対する周術期集学的治療によりさらに重篤な栄養障害をきたす可能性がある. 今回われわれは, PD後の術後補助化学療法中に低アルブミン血症に伴う浮腫に対してL‐グルタミンおよび亜鉛の補充が有効と思われた症例を経験したので報告する.
ISSN:0389-5564
2187-5154
DOI:10.11638/jssmn.58.4_136