胸部CTで空洞内への誘導気管支を同定し,極細径気管支鏡で菌球を観察し得た肺アスペルギルス症の1例

背景.胸部の空洞病変の内部に菌球様の陰影を認めた場合,肺アスペルギローマや肺癌が鑑別となる.症例.52歳男性が喀血で受診した.胸部造影CTで右上葉に空洞を伴う浸潤影を認めた.また,造影剤の血管外漏出を認めたため,活動性の出血を疑い,気管支動脈塞栓術を行った.経過からアスペルギルスの感染を疑いイトラコナゾールによる治療を開始した.その後,喀血はなく経過した.しかし,2年後の胸部CTで空洞内の菌球様陰影が顕在化した.また,胸部CTで気管支の走行を評価したところ,右B4aiのみ空洞との交通を認めた.そのため,診断および肺癌などの除外目的に極細径気管支鏡を右B4aiに挿入して空洞内を観察した.組織診で...

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Published in気管支学 Vol. 46; no. 4; pp. 246 - 249
Main Authors 畠山, 琢磨, 石川, 大輔, 眞水, 飛翔, 古川, 俊貴, 河上, 英則, 冨田, 悠祐, 眞水, 麻以子, 石田, 卓士
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本呼吸器内視鏡学会 25.07.2024
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.46.4_246

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Summary:背景.胸部の空洞病変の内部に菌球様の陰影を認めた場合,肺アスペルギローマや肺癌が鑑別となる.症例.52歳男性が喀血で受診した.胸部造影CTで右上葉に空洞を伴う浸潤影を認めた.また,造影剤の血管外漏出を認めたため,活動性の出血を疑い,気管支動脈塞栓術を行った.経過からアスペルギルスの感染を疑いイトラコナゾールによる治療を開始した.その後,喀血はなく経過した.しかし,2年後の胸部CTで空洞内の菌球様陰影が顕在化した.また,胸部CTで気管支の走行を評価したところ,右B4aiのみ空洞との交通を認めた.そのため,診断および肺癌などの除外目的に極細径気管支鏡を右B4aiに挿入して空洞内を観察した.組織診では悪性所見を認めず,細胞診でアスペルギルスを認めたため,肺アスペルギルス症と診断した.結論.末梢の空洞病変であっても空洞内への誘導気管支を同定してから空洞内腔を極細径気管支鏡で観察し,生検や検体採取することが鑑別診断に有用であった.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.46.4_246