慢性血栓塞栓性肺高血圧症と大動脈弁狭窄症を合併した脳動脈瘤患者に対する周術期管理

今回われわれは慢性血栓塞栓性肺高血圧症を合併した患者において,共に手術適応のある重症大動脈弁狭窄症と脳動脈瘤の周術期管理を経験した.慢性血栓塞栓性肺高血圧症による労作時呼吸苦により,大動脈弁狭窄症に対する手術介入時期の決定に苦慮した.左室充満圧は重症大動脈弁狭窄症の重症度と相関すると言われており,今回治療方針の決定に際して左室充満圧を指標の一つとした.本症例では術前左室充満圧の上昇はなく,脳動脈瘤に対する手術を先行した.術後呼吸苦を発症し,左室充満圧の上昇を認めたため大動脈弁狭窄による急性左心不全と診断した.早期に大動脈弁狭窄症に対する経カテーテル的大動脈弁置換術を行い,軽快退院の運びとなった...

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Published in日本臨床麻酔学会誌 Vol. 41; no. 4; pp. 316 - 321
Main Authors 秋山, 智幹, 吉田, 卓矢, 溝渕, 知司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床麻酔学会 15.07.2021
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Summary:今回われわれは慢性血栓塞栓性肺高血圧症を合併した患者において,共に手術適応のある重症大動脈弁狭窄症と脳動脈瘤の周術期管理を経験した.慢性血栓塞栓性肺高血圧症による労作時呼吸苦により,大動脈弁狭窄症に対する手術介入時期の決定に苦慮した.左室充満圧は重症大動脈弁狭窄症の重症度と相関すると言われており,今回治療方針の決定に際して左室充満圧を指標の一つとした.本症例では術前左室充満圧の上昇はなく,脳動脈瘤に対する手術を先行した.術後呼吸苦を発症し,左室充満圧の上昇を認めたため大動脈弁狭窄による急性左心不全と診断した.早期に大動脈弁狭窄症に対する経カテーテル的大動脈弁置換術を行い,軽快退院の運びとなった.
ISSN:0285-4945
1349-9149
DOI:10.2199/jjsca.41.316