Flow cytometryを用いた唾液腺多形腺腫の増殖動態の検討

唾液腺多形腺腫の増殖動態を探るため,固定検体からFlow cytometryを用いて核DNA量を測定し,症例間および腫瘍内部分を組織像の違いで比較検討した.S+G2M%が代数学的に0%以下となったものはnear diploidパターンと規定し,その割合も比較に用いた.症例間では明らかな違いはなかった.腫瘍内部分では粘液軟骨腫様部が主体で部分的に上皮様部の存在する部分で増殖能が高く,粘液軟骨腫様部へ分化していく部分で増殖能が高いことが推察された.aneuploidパターン,polyploid cellの出現を示したものはなかったが,S+G2M%が20%以上の高値となった症例が4例あった.1例が再...

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Published in日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 101; no. 6; pp. 849 - 855
Main Authors 松永, 喬, 宮原, 裕, 岡本, 英之, 鶴田, 至宏, 田中, 治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会 1998
日本耳鼻咽喉科学会
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ISSN0030-6622
1883-0854
DOI10.3950/jibiinkoka.101.6_849

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Summary:唾液腺多形腺腫の増殖動態を探るため,固定検体からFlow cytometryを用いて核DNA量を測定し,症例間および腫瘍内部分を組織像の違いで比較検討した.S+G2M%が代数学的に0%以下となったものはnear diploidパターンと規定し,その割合も比較に用いた.症例間では明らかな違いはなかった.腫瘍内部分では粘液軟骨腫様部が主体で部分的に上皮様部の存在する部分で増殖能が高く,粘液軟骨腫様部へ分化していく部分で増殖能が高いことが推察された.aneuploidパターン,polyploid cellの出現を示したものはなかったが,S+G2M%が20%以上の高値となった症例が4例あった.1例が再発例であったこと以外に臨床的な特徴はなく,組織型にも特徴はなかった.
ISSN:0030-6622
1883-0854
DOI:10.3950/jibiinkoka.101.6_849