舌下腺に発生した筋上皮癌の1例

筋上皮癌は1991年にWHOによって独立した腫瘍として分類されたまれな唾液腺悪性腫瘍で,その発生頻度は全唾液腺腫瘍の1%未満とされている。そのうち約75%は耳下腺,約10%は顎下腺由来とされており,舌下腺由来の報告はない。今回われわれは舌下腺に発生した筋上皮癌の一例を経験したので報告する。 患者は67歳の男性で,左口底部の腫脹を主訴に2006年1月に当科を初診した。左側口底部粘膜下に大きさ30×20×10mmの弾性硬の腫瘤を認め,腫瘤の可動性は不良であったが,被覆粘膜には潰瘍は認めなかった。MR画像ではT1強調画像で類球形で内部が不均一な腫瘤を認めた。下顎骨への浸潤像は認めなかった。切除した腫...

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Published in日本口腔腫瘍学会誌 Vol. 24; no. 3; pp. 113 - 120
Main Authors 程, 珺, 新美, 奏恵, 中里, 隆之, 新垣, 晋, 齊藤, 力, 西山, 秀昌
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本口腔腫瘍学会 2012
日本口腔腫瘍学会
Subjects
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ISSN0915-5988
1884-4995
DOI10.5843/jsot.24.113

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Summary:筋上皮癌は1991年にWHOによって独立した腫瘍として分類されたまれな唾液腺悪性腫瘍で,その発生頻度は全唾液腺腫瘍の1%未満とされている。そのうち約75%は耳下腺,約10%は顎下腺由来とされており,舌下腺由来の報告はない。今回われわれは舌下腺に発生した筋上皮癌の一例を経験したので報告する。 患者は67歳の男性で,左口底部の腫脹を主訴に2006年1月に当科を初診した。左側口底部粘膜下に大きさ30×20×10mmの弾性硬の腫瘤を認め,腫瘤の可動性は不良であったが,被覆粘膜には潰瘍は認めなかった。MR画像ではT1強調画像で類球形で内部が不均一な腫瘤を認めた。下顎骨への浸潤像は認めなかった。切除した腫瘍は分葉状で舌下腺内から周囲組織に浸潤増殖していた。免疫組織化学的検査ではS-100蛋白,SMA,pan-keratin,CK19,MUC-I,Calponin,Vimentin陽性を示し,筋上皮癌の診断であった。術後2年9か月経過した現在腫瘍の再発や所属リンパ節への転移,遠隔転移は認められない。
ISSN:0915-5988
1884-4995
DOI:10.5843/jsot.24.113