局所脳血流量からみた左半側空間無視

右大脳半球に障害を確認された69例の慢性期脳血管障害患者を対象として,99mTc-ethyl CySteinate dimer (99mTC-ECD)を用い,Patlak plot法により平均脳血流量を求め,SPECT像に関心領域を設定して局所脳血流量(rCBF)測定を行った.そして(1)rCBFと左半側空間無視(USN),(2)%Reduction(%Re)とUSN,(3)rCBFと%Reの関連性などについて対比検討し,症状出現を本法の脳血流値より予測することが可能かどうかを検討した,USNの有無はSPECTと同時期に検査した直線の2等分,star cancellation testにより判...

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Published in脳卒中 Vol. 21; no. 3; pp. 283 - 290
Main Authors 吉川, 卓也, 小村, 江美, 岡崎, 裕, 杉谷, 義憲, 半田, 伸夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 1999
日本脳卒中学会
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ISSN0912-0726
1883-1923
DOI10.3995/jstroke.21.283

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Summary:右大脳半球に障害を確認された69例の慢性期脳血管障害患者を対象として,99mTc-ethyl CySteinate dimer (99mTC-ECD)を用い,Patlak plot法により平均脳血流量を求め,SPECT像に関心領域を設定して局所脳血流量(rCBF)測定を行った.そして(1)rCBFと左半側空間無視(USN),(2)%Reduction(%Re)とUSN,(3)rCBFと%Reの関連性などについて対比検討し,症状出現を本法の脳血流値より予測することが可能かどうかを検討した,USNの有無はSPECTと同時期に検査した直線の2等分,star cancellation testにより判断した.USN陽性群はUSN陰性群に比し有意に,頭頂葉のrCBFは低下,%Reは増加していた. rCBF=21.6(ml/100ml/min),%Re=31.2(%)で区分するとUSN陽性群とUSN陰性群とがよく分離された、一般臨床上汎用可能なTc製剤を用いたPatlak plot法により,神経徴候の一つであるUSNを右大脳半球(頭頂葉,基底核)で血流低下をとらえることができ,脳血管障害での皮質症状発現の脳血流量をSPECTで定量的に類推することが可能であることが示唆された.今後は関心領域の設定法や,時期におけるUSNの改善の程度などについて検討を重ねていく必要があると思われた.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.21.283