小腸型ヒルシュスプルング病に非外傷性脾破裂を合併した1例

「要旨」症例は2歳男児. 小腸型ヒルシュスプルング病の診断で, 人工肛門を造設し, 在宅静脈栄養管理中であった. 2歳6か月時に発熱を主訴に受診しカテーテル関連血流感染の診断で入院した. 入院3日目に突然の顔面蒼白, 脈拍上昇, 腹部膨満を認め出血性ショックとなった. 腹部超音波検査で腹水貯留を認め, 腹部造影CT検査にて脾破裂と診断し, 同日脾動脈塞栓術を施行した. その後, 被膜下血腫の増大を認めたため, 塞栓術施行後8日目に脾臓摘出術を施行し, 脾下極部の被膜裂傷を認めた. 経過良好で術後32日目に退院したが, 術後3か月時に乏尿, 活気不良にて受診した. 脾摘後重症感染症の疑いで入院・...

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Published in日本小児外科学会雑誌 Vol. 55; no. 1; pp. 89 - 94
Main Authors 近藤琢也, 永田公二, 岩中剛, 三好きな, 江角元史郎, 木下義晶, 孝橋賢一, 田口智章
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本小児外科学会 20.02.2019
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Summary:「要旨」症例は2歳男児. 小腸型ヒルシュスプルング病の診断で, 人工肛門を造設し, 在宅静脈栄養管理中であった. 2歳6か月時に発熱を主訴に受診しカテーテル関連血流感染の診断で入院した. 入院3日目に突然の顔面蒼白, 脈拍上昇, 腹部膨満を認め出血性ショックとなった. 腹部超音波検査で腹水貯留を認め, 腹部造影CT検査にて脾破裂と診断し, 同日脾動脈塞栓術を施行した. その後, 被膜下血腫の増大を認めたため, 塞栓術施行後8日目に脾臓摘出術を施行し, 脾下極部の被膜裂傷を認めた. 経過良好で術後32日目に退院したが, 術後3か月時に乏尿, 活気不良にて受診した. 脾摘後重症感染症の疑いで入院・加療を開始したが, 2歳10か月で永眠された. 本症例は, 小腸型ヒルシュスプルング病に非外傷性脾破裂を併発した稀な症例である. その経過についてまとめ, 原疾患と脾破裂の関連やその成因, 急変後の初期対応などについて考察し, 報告する.
ISSN:0288-609X
DOI:10.11164/jjsps.55.1_89