染色体5q12に存在するSTRK1領域のハプロタイプと脳梗塞との関連

【背景】脳卒中は, 多様な遺伝的背景と環境要因とが関連し合って発症する多因子疾患と考えられている1). 一般に生活習慣病と呼ばれるこうした疾患では, どのような環境要因が関与しうるかを探究する研究とともに, 疾患を発症しやすい遺伝的背景を明らかにすることが, 発症予防にとってきわめて重要である2). 疾患を発症しやすい遺伝的背景を明らかにする研究は, ゲノム内に存在する一塩基多型(SNP)や, マイクロサテライトと呼ばれる2塩基~4塩基の繰り返し配列, あるいは4塩基~数十塩基の繰り返し配列であるVariable number of tandem repeat(VNTR)などを目印(遺伝子マー...

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Published in脳卒中 Vol. 28; no. 4; pp. 590 - 595
Main Authors 相馬, 正義, 佐藤, 直之, 中山, 智祥, 浅井, 聰
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 2006
日本脳卒中学会
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ISSN0912-0726
1883-1923
DOI10.3995/jstroke.28.590

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Summary:【背景】脳卒中は, 多様な遺伝的背景と環境要因とが関連し合って発症する多因子疾患と考えられている1). 一般に生活習慣病と呼ばれるこうした疾患では, どのような環境要因が関与しうるかを探究する研究とともに, 疾患を発症しやすい遺伝的背景を明らかにすることが, 発症予防にとってきわめて重要である2). 疾患を発症しやすい遺伝的背景を明らかにする研究は, ゲノム内に存在する一塩基多型(SNP)や, マイクロサテライトと呼ばれる2塩基~4塩基の繰り返し配列, あるいは4塩基~数十塩基の繰り返し配列であるVariable number of tandem repeat(VNTR)などを目印(遺伝子マーカー)に用いる. 遺伝子マーカーの示す多型を手掛かりに, 多数の家系を調べる連鎖解析や, 家系に基づかずに患者群とコントロール群をスクリーニングする関連解析など, ゲノムワイドな解析が近年盛んに行われるようになってきた. 脳卒中の領域では, 遺伝的背景をゲノムワイドなスケールで検討した研究はこれまでになかったが, 2002年, アイスランドのde-CODE geneticsのGretarsdottirらが, 5番染色体の長腕に脳卒中感受性領域(locus)が存在することを初めて報告した3).
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.28.590