脳梗塞急性期患者の不穏行動に関する検討
【はじめに】脳梗塞の急性期治療は血栓溶解療法, 抗血小板療法, 抗凝固療法, 脳保護療法などの薬物療法が治療戦略として重要であり, これらの治療法の選択が, 患者の予後に重要な影響を与えることはいうまでもない. しかしながら, 脳梗塞急性期には肺炎やせん妄, 消化管出血などさまざまな合併症が出現し, これらの管理も予後決定因子として重要である. 特にせん妄はそれを発症した患者自身の問題として点滴の自己抜去により薬剤投与がなされない, 転倒, 転落のリスクが高い, 安静が守れないことによって神経症候の増悪をきたす, などといったマイナス面があることに加え, 看護師がその患者対応に追われ, 他の患...
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Published in | 脳卒中 Vol. 28; no. 4; pp. 572 - 576 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本脳卒中学会
2006
日本脳卒中学会 |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0912-0726 1883-1923 |
DOI | 10.3995/jstroke.28.572 |
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Summary: | 【はじめに】脳梗塞の急性期治療は血栓溶解療法, 抗血小板療法, 抗凝固療法, 脳保護療法などの薬物療法が治療戦略として重要であり, これらの治療法の選択が, 患者の予後に重要な影響を与えることはいうまでもない. しかしながら, 脳梗塞急性期には肺炎やせん妄, 消化管出血などさまざまな合併症が出現し, これらの管理も予後決定因子として重要である. 特にせん妄はそれを発症した患者自身の問題として点滴の自己抜去により薬剤投与がなされない, 転倒, 転落のリスクが高い, 安静が守れないことによって神経症候の増悪をきたす, などといったマイナス面があることに加え, 看護師がその患者対応に追われ, 他の患者に対するケアが十分できなくなるといった, 病棟全体の機能にも大きな影響を与えるため非常に重要な問題であり, その対応に苦慮することが多い. これまでの報告では, 何らかの疾患で入院した65歳以上の高齢者に, せん妄は12%から31%に生じ1)~3), また, せん妄を合併した患者の死亡率は有意に高い4)~6)と報告されている. また, 一旦発症したせん妄に対しては, 抗精神病薬を中心とした薬物療法がなされているが, その効果はまちまちで, 確立した治療法は確立していない. |
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ISSN: | 0912-0726 1883-1923 |
DOI: | 10.3995/jstroke.28.572 |