短大生の子宮頸がん予防のための検診とワクチン接種に関する意識調査
厚生労働省の2011年の人口動態統計によると、わが国の全死亡数におけるがん死亡数の割合は28.5%で、死因別では第1位となっている。2012年に閣議決定された第2次がん対策推進基本計画に、年齢調整死亡率が上昇している女性のがんへの対策への取組を推進することが掲げられているが、最近、とくに20-30歳代の子宮頸がんの罹患率が増加する傾向にある。 子宮頸がんの発生原因はヒトパピローマウイルス感染であり、細胞診検査という早期発見に有効な子宮頸がん検診が確立されている。従ってその他のがんとは異なり、その多くは予防可能であり、撲滅が期待されるがんとして注目されている。 本研究では、この子宮頸がんにつ...
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Published in | 総合健診 Vol. 40; no. 5; pp. 512 - 524 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本総合健診医学会
2013
日本総合健診医学会 |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1347-0086 1884-4103 |
DOI | 10.7143/jhep.40.512 |
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Summary: | 厚生労働省の2011年の人口動態統計によると、わが国の全死亡数におけるがん死亡数の割合は28.5%で、死因別では第1位となっている。2012年に閣議決定された第2次がん対策推進基本計画に、年齢調整死亡率が上昇している女性のがんへの対策への取組を推進することが掲げられているが、最近、とくに20-30歳代の子宮頸がんの罹患率が増加する傾向にある。 子宮頸がんの発生原因はヒトパピローマウイルス感染であり、細胞診検査という早期発見に有効な子宮頸がん検診が確立されている。従ってその他のがんとは異なり、その多くは予防可能であり、撲滅が期待されるがんとして注目されている。 本研究では、この子宮頸がんについて、短大生を対象に、子宮がんや子宮がん検診に関する知識、子宮頸がん予防ワクチン接種について講義を行い、講義前後での意識変化を調査した。その結果、子宮がんに関する知識は低いが、子宮がん検診を受診したいと思っている割合が高いことが認められた。しかし、検査内容がわからないことを不安に感じている者が多いこともわかった。また、子宮頸がん予防ワクチンの認知度も低かった。 講義前には受診したくないと回答した者のうち半数以上が、講義後、受診したいと回答した。受診したいと回答した者のうち、講義後、受診したくないと回答した者もいた。しかし、無料クーポン券があれば受診すると回答した者もいた。また、同時に行った心理検査の結果、講義を聴講したにも関わらず、受診したくないと回答した者は不安度が高値を示した。 こうしたことから、がん教育・普及啓発の必要性とがん教育のあり方を工夫することにより、検診受診率が向上する可能性のあることがわかった。 教育により検診受診率が向上すれば、がんの早期発見に繋がり、さらに、子宮頸がん予防ワクチンの接種ががんの予防に繋がることになるものと期待される。 |
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ISSN: | 1347-0086 1884-4103 |
DOI: | 10.7143/jhep.40.512 |