自己免疫性脳症の臨床症候―ヒステリーとの鑑別

「はじめに」 Medically unexplained, psychogenic, hystericalなどと言われる神経症候は, 一般的には身体表現性障害などの心因に由来する疾患の特徴として捉えられている. 機能性麻痺, 機能性疼痛などという言葉も同様の意味合いを持つ. 例えば, 若い女性が彼氏と別れたあとに喘息発作が起こったとすれば, 状況的には喘息発作は心因性と認識されがちであるが, 実際には現代の医学では免疫性の気管支炎であることは疑いがない. このように心的負荷が誘因となったとしても疾患の本質が心因性であるかどうかとは別の問題である. そのような中で, 心的ストレスで脳由来の症状が...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in神経治療学 Vol. 36; no. 4; pp. 341 - 344
Main Author 髙嶋, 博
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経治療学会 2019
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0916-8443
2189-7824
DOI10.15082/jsnt.36.4_341

Cover

More Information
Summary:「はじめに」 Medically unexplained, psychogenic, hystericalなどと言われる神経症候は, 一般的には身体表現性障害などの心因に由来する疾患の特徴として捉えられている. 機能性麻痺, 機能性疼痛などという言葉も同様の意味合いを持つ. 例えば, 若い女性が彼氏と別れたあとに喘息発作が起こったとすれば, 状況的には喘息発作は心因性と認識されがちであるが, 実際には現代の医学では免疫性の気管支炎であることは疑いがない. このように心的負荷が誘因となったとしても疾患の本質が心因性であるかどうかとは別の問題である. そのような中で, 心的ストレスで脳由来の症状が悪化したとしても, それがもともと自己抗体や脳血管周囲炎などを原因とする慢性炎症性脳炎・脳症が悪化している可能性もあり, 気管支喘息同様に, 状況のみで心因要因をプライマリーの原因とするのは合理的ではない.
ISSN:0916-8443
2189-7824
DOI:10.15082/jsnt.36.4_341