高齢がん患者の機能評価

「I はじめに」高齢者は加齢により, 生物学的および生理学的な変化や社会的な問題が生じるため, 多くの点で非高齢がん患者とは異なると考えられる. たとえば加齢によるDNAの障害などにより高齢者では発癌率が高く, 特有のがん腫が生じうる. また, 臓器機能の低下などにより薬物の有害事象反応が生じやすく, さらに併存疾患の存在により常用薬の数が増え相互反応による有害事象も生じやすくなっている. 加えて, 身体機能低下やせん妄, 尿失禁などの高齢者特有の症状が生じることもある. さらには家族のサポート体制などの社会的背景により栄養状態の低下, 服薬コンプラアンスの低下や経済状況が悪いことなども問題と...

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Published in外科と代謝・栄養 Vol. 52; no. 1; pp. 17 - 22
Main Authors 岡野, 尚弘, 古瀬, 純司, 山内, 芳也, 小林, 敬明, 河合, 桐男, 長島, 文夫, 成毛, 大輔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本外科代謝栄養学会 2018
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ISSN0389-5564
2187-5154
DOI10.11638/jssmn.52.1_17

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Summary:「I はじめに」高齢者は加齢により, 生物学的および生理学的な変化や社会的な問題が生じるため, 多くの点で非高齢がん患者とは異なると考えられる. たとえば加齢によるDNAの障害などにより高齢者では発癌率が高く, 特有のがん腫が生じうる. また, 臓器機能の低下などにより薬物の有害事象反応が生じやすく, さらに併存疾患の存在により常用薬の数が増え相互反応による有害事象も生じやすくなっている. 加えて, 身体機能低下やせん妄, 尿失禁などの高齢者特有の症状が生じることもある. さらには家族のサポート体制などの社会的背景により栄養状態の低下, 服薬コンプラアンスの低下や経済状況が悪いことなども問題となりうる. わが国においては第2次ベビーブーム期以降の出生数の減少傾向と死亡状況の改善により高年齢層の増加から, 0~14歳の年少人口割合は減少し, 65歳以上の老年人口割合は増加している. 厚生労働白書によれば, 1950年時点で5%に満たなかったわが国の高齢化率は, 平成27年には高齢化率は26.7%へと急激に上昇し, 2060年には39.9%と65歳以上の人口が約2.5人に1人となる見通しである.
ISSN:0389-5564
2187-5154
DOI:10.11638/jssmn.52.1_17