未来へつなぐ神経治療学 自己免疫性脳炎の発展

「はじめに」 脳炎/脳症は命を脅かす疾患であり, 多くの原因がある. 抗Anti-N-methyl-d-aspartate(NMDA)受容体脳炎を含む自己免疫性脳炎の最近の進歩は著しく, 各種神経抗体の同定がなされ, 各種の自己免疫性脳炎の臨床像の解明がなされてきている. しかし, 従来, 自己免疫性脳炎の診断は, 抗体の検出による診断に依存してきた. 抗体の検出結果は, 患者の入院時や急性期に判明するわけではない. 従って, 実地臨床の現場では, 臨床像を踏まえた診療アプローチが重要と考える. 自己免疫性脳炎の最近の動向について自施設のデータも踏まえ概説する. 「I. 自己免疫性脳炎の定義」...

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Published in神経治療学 Vol. 37; no. 3; pp. 225 - 231
Main Author 亀井, 聡
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経治療学会 2020
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ISSN0916-8443
2189-7824
DOI10.15082/jsnt.37.3_225

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Summary:「はじめに」 脳炎/脳症は命を脅かす疾患であり, 多くの原因がある. 抗Anti-N-methyl-d-aspartate(NMDA)受容体脳炎を含む自己免疫性脳炎の最近の進歩は著しく, 各種神経抗体の同定がなされ, 各種の自己免疫性脳炎の臨床像の解明がなされてきている. しかし, 従来, 自己免疫性脳炎の診断は, 抗体の検出による診断に依存してきた. 抗体の検出結果は, 患者の入院時や急性期に判明するわけではない. 従って, 実地臨床の現場では, 臨床像を踏まえた診療アプローチが重要と考える. 自己免疫性脳炎の最近の動向について自施設のデータも踏まえ概説する. 「I. 自己免疫性脳炎の定義」 自己免疫性脳炎の定義は, 神経細胞に対する自己抗体に関連して発症する, 急速に進行する認知機能低下を特徴とする神経障害の総称である. つまり, 自己免疫性脳炎は単一疾患ではなく, 複合的な疾患群であり, 大脳皮質・皮質下・視床・小脳・脳幹を障害すると考える.
ISSN:0916-8443
2189-7824
DOI:10.15082/jsnt.37.3_225