浸潤性乳管癌と腺筋上皮腫を併存したfibroadenoma phyllodesの1例

症例は47歳,女性.右乳房CD境界に4cm径の腫瘤を触知した.青年期よりあり,少し縮小していた.乳腺エコーでは分葉状多結節状で,腫瘍の乳頭遠位部は他部位よりも低エコー濃度であった.乳房造影MRIでは腫瘍の乳頭遠位部は早期濃染した.針生検でlow grade ductal carcinoma in situ(DCIS)を含む葉状腫瘍の診断であった.腫瘍は乳輪下に及んでいたため,腫瘍直上の乳輪皮膚皮下も合併切除する乳房部分切除を施行した.病理診断は浸潤性乳管癌と腺筋上皮腫を含むfibroadenoma phyllodesであった.Low grade DCIS相当の乳管内成分は葉状腫瘍様の葉状構造の...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 84; no. 2; pp. 251 - 256
Main Authors 小川, 明男, 伊東, 悠子, 野尻, 基, 吉原, 基, 溝口, 良順
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2023
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Summary:症例は47歳,女性.右乳房CD境界に4cm径の腫瘤を触知した.青年期よりあり,少し縮小していた.乳腺エコーでは分葉状多結節状で,腫瘍の乳頭遠位部は他部位よりも低エコー濃度であった.乳房造影MRIでは腫瘍の乳頭遠位部は早期濃染した.針生検でlow grade ductal carcinoma in situ(DCIS)を含む葉状腫瘍の診断であった.腫瘍は乳輪下に及んでいたため,腫瘍直上の乳輪皮膚皮下も合併切除する乳房部分切除を施行した.病理診断は浸潤性乳管癌と腺筋上皮腫を含むfibroadenoma phyllodesであった.Low grade DCIS相当の乳管内成分は葉状腫瘍様の葉状構造の裂隙内に拡がり浸潤部を形成し,一部で腫瘍外にも拡がっていた.切除断端は陰性であった.術後全乳房照射を追加した.自験例は線維腺腫が長期の経過で線維腺腫の像に留まることなく,間質では葉状腫瘍様の葉状構造,上皮の癌化,筋上皮の増殖といった多彩な局面を呈したものと考えられた.線維腺腫と葉状腫瘍の組織発生を考える上で興味深い症例であった.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.84.251