術後膵周囲液体貯留に対する超音波内視鏡下ドレナージ術の有用性

近年,術後膵液漏に対する超音波内視鏡下ドレナージの報告が散見されるが,最適なドレナージ法や治療時期についてコンセンサスは形成されていない.当院で2013年~2021年の期間に術後膵周囲液体貯留に対して超音波内視鏡下ドレナージを施行した9例を対象とし,後ろ向きに解析した.術後膵周囲液体貯留の分類は急性膵周囲液体貯留(APFC)が7例・仮性嚢胞(PPC)が2例であり,手術から内視鏡治療までの期間の中央値はAPFCが19日(10日~31日),PPCが234日(198日~270日)であった.内外瘻の選択は様々であったが,PPCの2例では内外瘻が選択されていた.外瘻のみとした1例で自己抜去があり再留置が...

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Published inProgress of Digestive Endoscopy Vol. 100; no. 1; pp. 54 - 58
Main Authors 山上, 達也, 長濵, 正亞, 丸岡, 直隆, 野田, 淳, 山脇, 將貴, 浅見, 哲史, 髙野, 祐一, 新谷, 文崇
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部 30.06.2022
日本消化器内視鏡学会関東支部会
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ISSN1348-9844
2187-4999
DOI10.11641/pde.100.1_54

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Summary:近年,術後膵液漏に対する超音波内視鏡下ドレナージの報告が散見されるが,最適なドレナージ法や治療時期についてコンセンサスは形成されていない.当院で2013年~2021年の期間に術後膵周囲液体貯留に対して超音波内視鏡下ドレナージを施行した9例を対象とし,後ろ向きに解析した.術後膵周囲液体貯留の分類は急性膵周囲液体貯留(APFC)が7例・仮性嚢胞(PPC)が2例であり,手術から内視鏡治療までの期間の中央値はAPFCが19日(10日~31日),PPCが234日(198日~270日)であった.内外瘻の選択は様々であったが,PPCの2例では内外瘻が選択されていた.外瘻のみとした1例で自己抜去があり再留置が必要となったが,全例で液体貯留の消失がみられ合併症は認めなかった.APFCでは隔壁形成は十分ではないと考えられるが,本邦からの報告でもAPFCに対するドレナージ報告が多数見られ,炎症・感染がある状況ではAPFCであっても比較的早期のドレナージを考慮してもよいと考えられた.
ISSN:1348-9844
2187-4999
DOI:10.11641/pde.100.1_54