舌下神経麻痺を呈した侵襲性アスペルギルス症の1例
症例は71歳,男性.潰瘍性大腸炎のためazathioprine(50mg/日)を服用中.2015年5月頃から喉の違和感を自覚.同年8月4日に構音障害を急性発症し当科受診.神経学所見で左舌下神経麻痺を認めた.頭部MRI上で脳梗塞の所見はなく,造影MRIにて左舌下神経管周囲に造影効果を伴う病変を認めた.アスペルギルス抗原陽性を認め,CT上で口蓋扁桃から傍咽頭間隙に石灰化を伴う膿瘍性病変を認めた.アスペルギルス感染症を疑い診断的治療目的に抗真菌薬を開始し,臨床所見,画像所見の改善を得た.経過から扁桃腺から咽頭間隙を経由し舌下神経管へ浸潤した侵襲性アスペルギルス症と診断した.本症例のような免疫抑制薬服...
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Published in | 神経治療学 Vol. 36; no. 2; pp. 96 - 99 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本神経治療学会
2019
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Subjects | |
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ISSN | 0916-8443 2189-7824 |
DOI | 10.15082/jsnt.36.2_96 |
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Summary: | 症例は71歳,男性.潰瘍性大腸炎のためazathioprine(50mg/日)を服用中.2015年5月頃から喉の違和感を自覚.同年8月4日に構音障害を急性発症し当科受診.神経学所見で左舌下神経麻痺を認めた.頭部MRI上で脳梗塞の所見はなく,造影MRIにて左舌下神経管周囲に造影効果を伴う病変を認めた.アスペルギルス抗原陽性を認め,CT上で口蓋扁桃から傍咽頭間隙に石灰化を伴う膿瘍性病変を認めた.アスペルギルス感染症を疑い診断的治療目的に抗真菌薬を開始し,臨床所見,画像所見の改善を得た.経過から扁桃腺から咽頭間隙を経由し舌下神経管へ浸潤した侵襲性アスペルギルス症と診断した.本症例のような免疫抑制薬服用下における頭蓋底病変を認めた場合には,副鼻腔だけでなく咽頭部の感染源検索が必要であり,また診断的治療として抗真菌薬の先行投与を検討することが重要と考えられた. |
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ISSN: | 0916-8443 2189-7824 |
DOI: | 10.15082/jsnt.36.2_96 |