歩隔が歩行時の頭部と体幹の運動パターンに及ぼす影響:再帰性定量化分析を用いた検討
「1. 緒言」歩き始めたばかりの乳児は, 足を踏み出す際に側方に動揺し, 多くの場合バランスを崩してしまう. その後, 徐々に安定した歩行を身につけていくが, 歩行速度は最初の6ヶ月で3倍に増加するのに対して, 歩隔は約半分に減少する. ここで, 歩隔とは, 歩行の際, 片側の踵が接地して次に反対側の踵が接地する際の両踵間の横方向における幅を指す. 我々は, この歩隔に着目している. 疾病や加齢の影響で不安を感じたり, 自信を喪失したりすると過剰に安定を求める傾向が強くなり, 立位では, 下肢を開き支持面を広く (Wide Base ; WB), かつ重心の位置を低くすることで慣性を大きくする...
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Published in | 日本生理人類学会誌 Vol. 26; no. 3; pp. 55 - 62 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本生理人類学会
25.08.2021
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Subjects | |
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ISSN | 1342-3215 2432-0986 |
DOI | 10.20718/jjpa.26.3_55 |
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Summary: | 「1. 緒言」歩き始めたばかりの乳児は, 足を踏み出す際に側方に動揺し, 多くの場合バランスを崩してしまう. その後, 徐々に安定した歩行を身につけていくが, 歩行速度は最初の6ヶ月で3倍に増加するのに対して, 歩隔は約半分に減少する. ここで, 歩隔とは, 歩行の際, 片側の踵が接地して次に反対側の踵が接地する際の両踵間の横方向における幅を指す. 我々は, この歩隔に着目している. 疾病や加齢の影響で不安を感じたり, 自信を喪失したりすると過剰に安定を求める傾向が強くなり, 立位では, 下肢を開き支持面を広く (Wide Base ; WB), かつ重心の位置を低くすることで慣性を大きくする. 静的に安定したこの状態で歩き出すと歩隔も広くなる. そして, すでに報告されているように歩隔が広い場合, 狭い場合 (Narrow Base ; NB) と比較して, 身体各部位の動揺幅が大きくなり, 動揺幅のばらつきも大きくなる. |
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ISSN: | 1342-3215 2432-0986 |
DOI: | 10.20718/jjpa.26.3_55 |