上顎前歯部歯槽骨切り術を適応した骨格性下顎後退症患者の側貌軟組織変化

「緒言」上顎前歯部歯槽骨切り術は, 上顎前方歯槽部を離断し, 上顎小臼歯の抜歯空隙を利用して歯・歯槽セグメントを一塊とし目的の位置に移動する方法で, 骨格性上顎前突症患者に対してしばしば用いられている. 本法については, 1)上下顎の前後的不調和を骨格的に改善できること, 2)前歯の歯軸や垂直的位置のコントロールが可能で過度の舌側傾斜や歯根吸収を回避しながらガミースマイルを改善できること, 3)術後の安定性に優れており後戻りはほとんど見られないことなどが利点としてあげられる. しかし一方では, 偶発症として切除部隣在歯の術後の損傷が報告されている. 骨格性下顎後退症患者では, 咬合の不調和を改...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本顎変形症学会雑誌 Vol. 25; no. 1; pp. 17 - 31
Main Authors 川元, 龍夫, 東堀, 紀尚, 森山, 啓司, 福岡, 裕樹, 三上, 智彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本顎変形症学会 15.04.2015
日本顎変形症学会
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0916-7048
1884-5045
DOI10.5927/jjjd.25.17

Cover

More Information
Summary:「緒言」上顎前歯部歯槽骨切り術は, 上顎前方歯槽部を離断し, 上顎小臼歯の抜歯空隙を利用して歯・歯槽セグメントを一塊とし目的の位置に移動する方法で, 骨格性上顎前突症患者に対してしばしば用いられている. 本法については, 1)上下顎の前後的不調和を骨格的に改善できること, 2)前歯の歯軸や垂直的位置のコントロールが可能で過度の舌側傾斜や歯根吸収を回避しながらガミースマイルを改善できること, 3)術後の安定性に優れており後戻りはほとんど見られないことなどが利点としてあげられる. しかし一方では, 偶発症として切除部隣在歯の術後の損傷が報告されている. 骨格性下顎後退症患者では, 咬合の不調和を改善するため下顎骨前方移動術を用いることが多いが, 下顎骨後方移動術後と比較して, 安定性が得られにくいことが指摘されている. 下顎骨前方移動術後の骨格性の後戻りに関与する要因として, 術前の下顎下縁平面の開大や手術時の大きな下顎骨前方移動が報告されており, さらに下顎骨前方移動術後に進行性下顎頭吸収(progressive condylar resorption:以下PCR)が生じ, これが後戻りの要因となるとの報告も認められる.
ISSN:0916-7048
1884-5045
DOI:10.5927/jjjd.25.17