J波を有する特発性心室細動患者のリスク評価と薬物効果

特発性心室細動(IVF)の発現において,近年J波の関与が注目されている.J波は早期再分極異常ととらえられているが,QRS波終末部で記録されるため,考え方によっては脱分極異常としてとらえることもできる.IVF患者において心電学的リスク指標を評価したところ,J波は脱分極異常を反映する心室late potentials(LP)と有意な関連性を示したのに対して,再分極異常を反映するT-wave alternansやQT間隔解析指標とは関連性を示さなかった.LPの各パラメータは,J波を有するIVF患者では日内変動をきたした.また,J波は心拍変動解析の迷走神経活動指標であるHF成分と正の相関関係を示した....

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Published in心電図 Vol. 32; no. 3; pp. 305 - 310
Main Authors 池田, 隆徳, 阿部, 敦子, 三輪, 陽介, 星田, 京子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本不整脈心電学会 2012
日本心電学会
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Summary:特発性心室細動(IVF)の発現において,近年J波の関与が注目されている.J波は早期再分極異常ととらえられているが,QRS波終末部で記録されるため,考え方によっては脱分極異常としてとらえることもできる.IVF患者において心電学的リスク指標を評価したところ,J波は脱分極異常を反映する心室late potentials(LP)と有意な関連性を示したのに対して,再分極異常を反映するT-wave alternansやQT間隔解析指標とは関連性を示さなかった.LPの各パラメータは,J波を有するIVF患者では日内変動をきたした.また,J波は心拍変動解析の迷走神経活動指標であるHF成分と正の相関関係を示した.さらに,J波を有する若年のIVF患者において薬効を評価したところ有効な薬物はなかったが,J波がないかJ波があっても変動しない10歳代のIVF患者ではβ遮断薬が有効であった.このように,早期再分極症候群またはJ波症候群とも称されるJ波を伴うIVF患者でのリスク評価法や薬物効果が,徐々にではあるが明らかにされつつある.
ISSN:0285-1660
1884-2437
DOI:10.5105/jse.32.305