生体腎移植における潜在性結核感染症に対する取り組みについて

「I. はじめに」結核に感染して発病するリスクが高い者に対する潜在性結核感染症(Latent Tuberculosis Infection; LTBI)の治療を行うことの有効性は確立しており, 結核の根絶を目指すために重要な戦略であると考えられている. 日本移植学会の生体腎移植ガイドラインでは, 腎移植希望者(レシピエント)適応基準として全身感染症がないこととされているが, LTBIに関しては明記されておらず, そのスクリーニングは各施設に委ねられているのが現状であると考えられる. われわれは年に数例, 外国出身者の生体腎移植を経験している. そのうちインド出身者に生体腎移植を施行したところ,...

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Published in移植 Vol. 58; no. 3; pp. 259 - 264
Main Authors 小山, 一郎, 岩藤, 和広, 春口, 和樹, 近藤, 晃, 川瀬, 友則, 蜂須賀, 健, 三宮, 彰仁, 中島, 一朗
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2023
日本移植学会
Subjects
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.58.3_259

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Summary:「I. はじめに」結核に感染して発病するリスクが高い者に対する潜在性結核感染症(Latent Tuberculosis Infection; LTBI)の治療を行うことの有効性は確立しており, 結核の根絶を目指すために重要な戦略であると考えられている. 日本移植学会の生体腎移植ガイドラインでは, 腎移植希望者(レシピエント)適応基準として全身感染症がないこととされているが, LTBIに関しては明記されておらず, そのスクリーニングは各施設に委ねられているのが現状であると考えられる. われわれは年に数例, 外国出身者の生体腎移植を経験している. そのうちインド出身者に生体腎移植を施行したところ, 約8か月後に活動性肺結核を発症した症例を経験した. この症例を契機に, 結核高蔓延国出身者の移植を予定する際にLTBIのスクリーニングを行ったところ, 4名中4名がLTBIの診断に至った. 陽性率の高さを受け, 現在, 日本人へのスクリーニングも行っている.
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.58.3_259