膵島移植と再生医療の融合
「はじめに」日本膵・膵島移植研究会や日本移植学会の関係者の多大な尽力により, わが国においても, 2020年4月にようやく脳死ドナーおよび心停止ドナーからの同種膵島移植が保険収載された. これにより, 膵島移植が重症糖尿病に対する一つの治療オプションとして加わることとなり, 移植医療が抱える大きな課題である高侵襲性を解消する目処がついたと言えよう. しかし, 今後より多くの重症糖尿病患者へこの新たな治療オプションを提示していくためには, 移植医療の残された課題である, ドナー不足と免疫抑制剤による副作用に対する有効な対策を打ち出していくことが, 極めて重要である. 再生医療との融合は, 膵島移...
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Published in | 移植 Vol. 56; no. 2; pp. 141 - 147 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本移植学会
2021
日本移植学会 |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0578-7947 2188-0034 |
DOI | 10.11386/jst.56.2_141 |
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Summary: | 「はじめに」日本膵・膵島移植研究会や日本移植学会の関係者の多大な尽力により, わが国においても, 2020年4月にようやく脳死ドナーおよび心停止ドナーからの同種膵島移植が保険収載された. これにより, 膵島移植が重症糖尿病に対する一つの治療オプションとして加わることとなり, 移植医療が抱える大きな課題である高侵襲性を解消する目処がついたと言えよう. しかし, 今後より多くの重症糖尿病患者へこの新たな治療オプションを提示していくためには, 移植医療の残された課題である, ドナー不足と免疫抑制剤による副作用に対する有効な対策を打ち出していくことが, 極めて重要である. 再生医療との融合は, 膵島移植にとって数ある対策の中でも, 現状では最も効果的な戦略の一つと考えられている. 元来, 移植医療と再生医療は密接に関連しており, 現行の移植医療が抱えるさまざまな課題を, 今後再生医療が解消することが期待されている. |
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ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
DOI: | 10.11386/jst.56.2_141 |