受容器型味覚障害の治癒過程に関する研究

受容器型の味覚障害患者119例を, 亜鉛剤の内服で治療し, その治癒過程を濾紙ディスク法, ならびに電気味覚検査法で追跡した. 1) 舌面における味覚の回復は, 3タイプあった. 舌前方後方同時に回復する同時改善型が45.4%存在した. 舌後方 (舌咽神経領域) から先に回復する舌後方改善型が44.5%あった. 舌前方 (鼓索神経領域) から回復を始める舌前方改善型は10.1%と他の2型に比して著しく少なかった. 2) 4基本味質における回復過程の差異については, 同時改善型において, 甘味と苦味が先に回復する傾向が認められた. 3) 受容器型味覚障害では味蕾の多い舌後方から治癒過程が始まるこ...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 98; no. 2; pp. 267 - 280,355
Main Authors 冨田, 寛, 北郷, 秀人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会 20.02.1995
日本耳鼻咽喉科学会
Online AccessGet full text
ISSN0030-6622
1883-0854
DOI10.3950/jibiinkoka.98.267

Cover

More Information
Summary:受容器型の味覚障害患者119例を, 亜鉛剤の内服で治療し, その治癒過程を濾紙ディスク法, ならびに電気味覚検査法で追跡した. 1) 舌面における味覚の回復は, 3タイプあった. 舌前方後方同時に回復する同時改善型が45.4%存在した. 舌後方 (舌咽神経領域) から先に回復する舌後方改善型が44.5%あった. 舌前方 (鼓索神経領域) から回復を始める舌前方改善型は10.1%と他の2型に比して著しく少なかった. 2) 4基本味質における回復過程の差異については, 同時改善型において, 甘味と苦味が先に回復する傾向が認められた. 3) 受容器型味覚障害では味蕾の多い舌後方から治癒過程が始まることが明らかになった. 4) 電気味覚検査は, 受容器型味覚障害の経過を追うことに適していない.
ISSN:0030-6622
1883-0854
DOI:10.3950/jibiinkoka.98.267