弓道における異常な運動(いわゆるイップス)―頻度,分類,危険因子の検討

弓道において,弓を放つ際,「早気,もたれ,びく,ゆすり」と呼ばれる4種類の状態が生じ,上達に支障を来す.種々のスポーツで認めるイップスの定義に当てはまるが,これまでほとんど検討されていない.これらの頻度や分類の意義,危険因子について明らかにすることを目的に,大学生を対象とした検討を行った.アンケートを行った65名中41名(63.1%)にいずれかの経験があり,「早気」が最も多かった(のべ35名;85.3%).イップス発症の危険因子として,経験年数が長いことが関与していた.病態は未だ不明なことが多いが,「もたれ」のみ単独で出現し,その特徴からも動作特異性局所ジストニアの関与の可能性が疑われた....

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in臨床神経学 Vol. 61; no. 8; pp. 522 - 529
Main Authors 長尾, 洋一郎, 和座, 雅浩, 林, 祐一, 下畑, 享良, 向野, 晃弘, 加藤, 新英, 大野, 陽哉, 西尾, 誠一郎, 中根, 俊成
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経学会 2021
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0009-918X
1882-0654
DOI10.5692/clinicalneurol.cn-001568

Cover

More Information
Summary:弓道において,弓を放つ際,「早気,もたれ,びく,ゆすり」と呼ばれる4種類の状態が生じ,上達に支障を来す.種々のスポーツで認めるイップスの定義に当てはまるが,これまでほとんど検討されていない.これらの頻度や分類の意義,危険因子について明らかにすることを目的に,大学生を対象とした検討を行った.アンケートを行った65名中41名(63.1%)にいずれかの経験があり,「早気」が最も多かった(のべ35名;85.3%).イップス発症の危険因子として,経験年数が長いことが関与していた.病態は未だ不明なことが多いが,「もたれ」のみ単独で出現し,その特徴からも動作特異性局所ジストニアの関与の可能性が疑われた.
ISSN:0009-918X
1882-0654
DOI:10.5692/clinicalneurol.cn-001568