内視鏡で診断,治療しえた大腸アニサキス症の1例

「和文要旨」42歳男性. 主訴は右下腹部痛, 下痢. 血液検査上異常なかったが腹部CT検査で回盲部から肝彎曲部に腸管壁の著明な肥厚を認めたため大腸内視鏡検査施行. 回盲部の浮腫状粘膜上にアニサキス虫体を認め摘出し病状は劇的に改善. その後3日前にしめサバを摂食していたことが判明. 大腸アニサキス症は特異的症状がなく診断困難だが腹痛を伴った大腸浮腫の鑑別疾患の一つとして考える必要あり生魚摂取の問診が重要である. 「はじめに」アニサキス症は消化管の全ての部位に起こりえるが多くは胃であり腸アニサキス症, 特に大腸アニサキス症の頻度は少ない. 右下腹部痛を主訴とし内視鏡的に虫体を摘出し症状が劇的に改善...

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Published inProgress of Digestive Endoscopy Vol. 72; no. 2; pp. 62 - 63
Main Authors 加藤, 彩, 前澤, 寧, 大野, 隆, 水口, 澄人, 蓮見, 桂三, 穴澤, 康志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部 2008
日本消化器内視鏡学会関東支部会
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ISSN1348-9844
2187-4999
DOI10.11641/pde.72.2_62

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Summary:「和文要旨」42歳男性. 主訴は右下腹部痛, 下痢. 血液検査上異常なかったが腹部CT検査で回盲部から肝彎曲部に腸管壁の著明な肥厚を認めたため大腸内視鏡検査施行. 回盲部の浮腫状粘膜上にアニサキス虫体を認め摘出し病状は劇的に改善. その後3日前にしめサバを摂食していたことが判明. 大腸アニサキス症は特異的症状がなく診断困難だが腹痛を伴った大腸浮腫の鑑別疾患の一つとして考える必要あり生魚摂取の問診が重要である. 「はじめに」アニサキス症は消化管の全ての部位に起こりえるが多くは胃であり腸アニサキス症, 特に大腸アニサキス症の頻度は少ない. 右下腹部痛を主訴とし内視鏡的に虫体を摘出し症状が劇的に改善した大腸アニサキス症の1例を経験したので報告する. 「症例」患者:42歳, 男性. 主訴:右下腹部痛, 下痢. 既往歴:憩室炎(30歳). 現病歴:2007年7月9日午前1時より右下腹部痛が出現しその後2度の下痢を認めた. 発熱, 嘔吐, 血便はなかった. 腹痛が改善しないため同日当科受診となった. 来院時現症:身長173.6cm, 体重60.6㎏, 体温36.3℃, 血圧137/86mmHg, 脈拍83/分・整. 貧血・黄疸なし. 表在リンパ節触知せず. 腹部平坦, 右下腹部に圧痛あり, 反跳痛・板状硬なし. 血液検査所見:WBC 5,330/μl(好酸球4%), CRP 0.61/μl, その他の血液生化学検査に異常なし. 腹部レントゲン:異常なし. 腹部所見および血液検査所見のわりには症状が強く以前に憩室炎にて入院歴があったため, 再発を疑い腹部CT検査を施行した.
ISSN:1348-9844
2187-4999
DOI:10.11641/pde.72.2_62