内視鏡で虫体を摘出した大腸アニサキス症の1例

「和文要旨」症例は66歳, 男性. 1ヵ月前の検診で便潜血陽性を指摘され当院受診, 大腸内視鏡を施行した. 上行結腸肝彎曲部に, 粘膜に刺入するアニサキス虫体を認めた. 刺入している浮腫状の粘膜を含め, 生検鉗子で摘出した. 抗アニサキスIgG・IgA抗体は陽性で, 問診では3日前に生イカを摂取していた. 大腸アニサキス症は全アニサキス症の約1%と稀であるが, 大腸内視鏡検査の普及によって今後も報告例は増加すると考えられる. 「はじめに」消化管アニサキス症は魚介類の生食により感染し, 急性腹症として日常診療上しばしば遭遇する疾患である. しかし, その大半が胃アニサキス症であり, 腸とくに大腸...

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Published inProgress of Digestive Endoscopy Vol. 74; no. 2; pp. 90 - 91
Main Authors 北村, 大介, 関, 英一郎, 権田, 厚文, 冨木, 裕一, 前多, 力
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部 2009
日本消化器内視鏡学会関東支部会
Subjects
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ISSN1348-9844
2187-4999
DOI10.11641/pde.74.2_90

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Summary:「和文要旨」症例は66歳, 男性. 1ヵ月前の検診で便潜血陽性を指摘され当院受診, 大腸内視鏡を施行した. 上行結腸肝彎曲部に, 粘膜に刺入するアニサキス虫体を認めた. 刺入している浮腫状の粘膜を含め, 生検鉗子で摘出した. 抗アニサキスIgG・IgA抗体は陽性で, 問診では3日前に生イカを摂取していた. 大腸アニサキス症は全アニサキス症の約1%と稀であるが, 大腸内視鏡検査の普及によって今後も報告例は増加すると考えられる. 「はじめに」消化管アニサキス症は魚介類の生食により感染し, 急性腹症として日常診療上しばしば遭遇する疾患である. しかし, その大半が胃アニサキス症であり, 腸とくに大腸アニサキス症は比較的稀である1). 今回, 内視鏡で虫体を摘出した大腸アニサキス症の1例を経験したので報告する. 「症例」患者:66歳, 男性. 主訴:特になし. 既往歴:特になし. 現病歴:1ヵ月前の検診で便潜血反応陽性を指摘され, 当院を受診し, 大腸内視鏡検査を施行した. 大腸内視鏡検査:上行結腸肝彎曲部に粘膜に刺入する白色透明なアニサキス虫体を認めた(Color 1-a). 刺入している浮腫状の粘膜を含め, 長径約20mmの虫体を生検鉗子で摘出した(Color 1-b). 虫体鑑別検査においてアニサキス幼虫であることが確認され, 刺入部の粘膜の病理検査所見では間質に好酸球を主体とした炎症細胞浸潤を認めた.
ISSN:1348-9844
2187-4999
DOI:10.11641/pde.74.2_90