虚血再灌流によるしびれ感覚誘発時の皮膚血流の変化および電流知覚閾値への影響
「はじめに」しびれ感覚は疼痛とともに臨床でよく遭遇する症状のひとつである. しびれ感覚は, 日本語特有の概念で医学的に定義されたものではなく非常に曖昧で, その症状はビリビリ, チクチクなどの自発的に生じる異常感覚や感覚消失, 感覚鈍麻, 運動障害など多様である11). このような訴えの原因となる疾患には, 絞扼性神経障害や閉塞性動脈硬化症などの末梢性疾患, 脳梗塞や脊髄損傷, 多発性硬化症などの中枢性疾患, 過換気症候群やうつ病などの心因性の疾患などがある20). 一方, しびれ感覚の発生機序に関しては, 虚血時間の長さに応じて神経線維が機能低下をきたす血流障害説をはじめとして, 末梢神経の...
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Published in | PAIN RESEARCH Vol. 25; no. 1; pp. 45 - 53 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本疼痛学会
2010
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Subjects | |
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ISSN | 0915-8588 2187-4697 |
DOI | 10.11154/pain.25.45 |
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Summary: | 「はじめに」しびれ感覚は疼痛とともに臨床でよく遭遇する症状のひとつである. しびれ感覚は, 日本語特有の概念で医学的に定義されたものではなく非常に曖昧で, その症状はビリビリ, チクチクなどの自発的に生じる異常感覚や感覚消失, 感覚鈍麻, 運動障害など多様である11). このような訴えの原因となる疾患には, 絞扼性神経障害や閉塞性動脈硬化症などの末梢性疾患, 脳梗塞や脊髄損傷, 多発性硬化症などの中枢性疾患, 過換気症候群やうつ病などの心因性の疾患などがある20). 一方, しびれ感覚の発生機序に関しては, 虚血時間の長さに応じて神経線維が機能低下をきたす血流障害説をはじめとして, 末梢神経の軸索から自発的に神経興奮が発生する異所性発火説, 末梢神経の障害を受けた部分で触覚を伝達する神経線維が痛覚を伝達する神経線維に短絡を起こすエファプス伝達説など諸説が提唱されている9,14,20,23). これまで用いられてきたしびれ感覚の実験モデルには, ヒトあるいは動物において, 虚血再灌流によって異常感覚を生じさせることによる一時的な末梢神経障害モデルや末梢血行障害モデルがある. |
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ISSN: | 0915-8588 2187-4697 |
DOI: | 10.11154/pain.25.45 |