延髄腫瘍術後の嚥下障碍に対し,ボイスボタン併用喉頭摘出術を行なった一例

症例は47歳男性.延髄血管芽腫再発に伴い,嚥下障碍,嗄声,申枢性低換気が増悪して当院脳神経外科入院,気管切開と腫瘍全摘術施行.その後気管孔を閉鎖したが,誤嚥性肺炎を起こし,再度気管切開を要した.しかし,肺炎は繰り返したため,嚥下造影を行なったところ,嚥下反射パターンの異常,咽頭蠕動の消失,食道入口部の開大不全などに起因する誤嚥を認め,かつ咳嗽反射が全く惹起されないことが分かった.リハビリを行うも改善せず,また咳嗽反射の消失もあり,気道と食道の分離以外に誤嚥を予防できないと考えられたため,喉頭摘出術およびボイスボタン留置術を行なった.術後経過は良好で,現在は全量通常の食事を経口摂食している.また...

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Published in日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 Vol. 12; no. 1; pp. 61 - 68
Main Authors 小西, 正訓, 坪田, 大, 伊東, 民雄, 飯出, 美緒, 今井, 良吉, 酒井, 奈美香
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本摂食嚥下リハビリテーション学会 30.04.2008
日本摂食・嚥下リハビリテーション学会
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ISSN1343-8441
2434-2254
DOI10.32136/jsdr.12.1_61

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Summary:症例は47歳男性.延髄血管芽腫再発に伴い,嚥下障碍,嗄声,申枢性低換気が増悪して当院脳神経外科入院,気管切開と腫瘍全摘術施行.その後気管孔を閉鎖したが,誤嚥性肺炎を起こし,再度気管切開を要した.しかし,肺炎は繰り返したため,嚥下造影を行なったところ,嚥下反射パターンの異常,咽頭蠕動の消失,食道入口部の開大不全などに起因する誤嚥を認め,かつ咳嗽反射が全く惹起されないことが分かった.リハビリを行うも改善せず,また咳嗽反射の消失もあり,気道と食道の分離以外に誤嚥を予防できないと考えられたため,喉頭摘出術およびボイスボタン留置術を行なった.術後経過は良好で,現在は全量通常の食事を経口摂食している.また,ボイスボタンによる代替発声が容易に可能であり,音声言語機能も良好に保存することができた.通常誤嚥防止手術では音声が保存されないが,今回の方法は,摂食による誤嚥の防止と音声の保存を両立できる利点がある.
ISSN:1343-8441
2434-2254
DOI:10.32136/jsdr.12.1_61