高血圧症患者における血漿脂酸構成について
脂質代謝の研究にガスクロマトグラフィーが応用されるようになってから1)血漿脂酸の測定が可能になり各種疾患の脂酸分画異常が報告されるようになった. 本態性高血圧症における脂質代謝の研究に関して従来コレステロールがおもにとりあげられ, 本症では高コレステロール血症が多くみられるといわれているが2)脂酸分画に関する報告はすくなくない. これは本症がその発生機序を異にする動脈硬化症ときわめて密接な関係を保ちながら進行するので脂質代謝異常が存在した場合本症と動脈硬化症のいずれの要素が主であるか判定が困難であることにもよると思われる. そのためか最近の脂質代謝の研究はもっぱら高血圧を伴わぬ動脈硬化にむけら...
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Published in | 医療 Vol. 20; no. 12; pp. 1283 - 1287 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 国立医療学会
1966
医療同好会 |
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ISSN | 0021-1699 1884-8729 |
DOI | 10.11261/iryo1946.20.1283 |
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Summary: | 脂質代謝の研究にガスクロマトグラフィーが応用されるようになってから1)血漿脂酸の測定が可能になり各種疾患の脂酸分画異常が報告されるようになった. 本態性高血圧症における脂質代謝の研究に関して従来コレステロールがおもにとりあげられ, 本症では高コレステロール血症が多くみられるといわれているが2)脂酸分画に関する報告はすくなくない. これは本症がその発生機序を異にする動脈硬化症ときわめて密接な関係を保ちながら進行するので脂質代謝異常が存在した場合本症と動脈硬化症のいずれの要素が主であるか判定が困難であることにもよると思われる. そのためか最近の脂質代謝の研究はもっぱら高血圧を伴わぬ動脈硬化にむけられており脂酸分画の測定も動脈硬化に関するものは枚挙にいとまがない. 3)~5) しかし本症が微妙に関係する自律神経異常や各種ホルモンの分泌異常でも血漿脂酸構成が変化することは良く知られており, 6) また臨床的に動脈硬化像がいまだみられぬ高血圧症において血漿脂酸分画がどのように変化するか追及することは動脈硬化との関連性を知る上でも興味深い. |
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ISSN: | 0021-1699 1884-8729 |
DOI: | 10.11261/iryo1946.20.1283 |